足立朝日

日本洋画の名品を間近で 江北に住友資料美術館オープン

掲載:2011年3月20日号
 江北に私設の美術館「住友資料美術館」が3月27日(日)オープンする。
 医師の住友慎一さん(86)が長年開業していた医院を改装し、千代子夫人とともに美術館として開館するものだ。
 住友館長は50年以上にわたって、日本画や日本の近代洋画などを収集してきた。「自然と集まってきてしまった」というその数は、3000点にものぼるという。江戸時代の画家・工芸家で琳派の始祖、尾形光琳と弟・乾山の研究も長く、数多くの著書を執筆。栃木県矢板市にも住友ミュージアムを開館している。
 収集のきっかけは、「日本人がどうして洋画に興味を持ったのか、墨絵から油絵になったことで、光を表現できるようになったかに興味を持った。その過程が面白い」という。
 資料美術館では、迎賓館に置かれていたという光琳の菊の絵10枚のうちの1枚をはじめ、青木繁、岸田劉生、佐伯祐三、中川一政、藤島武二など有名画家の作品たちが、気取らない姿で展示されている。あまりに間近で見られることに、まるで自分の家に飾って眺めているような感動を覚える。
 中でも黒田清輝の「幼児像」は、長年、贋作と言われてきたそうだが、住友さんらの長年の研究によって、ようやく真作の評価がついたという曰(いわ)くつきの作品だ。
 「足立区には、美術館がほとんどないので、美に関心を持って貰えれば」とは住友さん夫妻からのメッセージだ。
《住友資料美術館》
【開館時間】午前10時~午後4時、月曜休館 
*3月27日(日)は11時開館(学芸員の説明有り)
【料金】300円
【場所】江北3-40-27(西新井駅西口から赤羽駅東口行きバス「椿二丁目」下車徒歩5分、北千住駅西口からはるかぜ堀之内・椿循環「江北区民事務所入口」前)
【問合せ】TEL3899・1735

写真上/真贋の研究に力を注いだ黒田清輝作『幼児像』の前で、住友慎一館長=住友資料美術館で
下/医院を改装した住友資料美術館