足立朝日

「不幸な猫をなくそう」と 東奔西走 ニャンコTNRの会

掲載:2021年6月5日号
 このコロナ禍での巣ごもり状態で、ペットや犬、猫ブームが続いている。その中で、飼い主のいない「不幸な猫をなくそう」と、足立区内を駆け回り、野良猫を見つけては、不妊手術や病気などの治療のため病院に連れて行ったり、里親探しをしている熱心なボランティア団体が評判になっている。
 この会は2年前に結成された「ニャンコTNRの会」。Tはトラップ(つかまえる)、Nはニューター(手術)、Rは(リリースあるいはリターン)の意味。関屋町の主婦・岡本喜美子さん(68)を代表に、柳町の中田さん、堀之内の高橋さん、その他サポーターで活動。 
 岡本さんは、小さい頃から動物が大好きだった。小学生時代「忠犬ハチ公」の映画を見て、けなげなハチ公の姿にボロボロ泣いた。「昔は、子猫を拾って来ると父母らに『飼えないから捨ててきなさい』と言われたもの。でも、今は違う。子どもたちが大人に怒られることなく自由に犬や猫を飼えるのは素晴らしい」と思い、40歳の頃から一番身近にいた野良猫の世話を始めた。
 活動を個人で行っている人は多く、岡本さんは交換会などで中田さん、高橋さんらと出会い、会を結成、団体として機動的に動くようになった。週に1回は、車にたくさんの捕獲機を積み、場所を変えての捕獲作戦。
 保護したら、まず病気の有無を調べるためにすぐに病院へ。ペットも人間と同じで、腎臓をやられていたりエイズや白血病などの猫もいる。また、片目や全盲や足のない猫も。 
 さらに、これ以上野良猫が増えないように、医院で不妊手術を実施。術後耳カット(さくら耳)にし、保護した猫は、開催される譲渡会に連れて行く。
 病気の治療や不妊手術は、当然お金がかかる。行政の認識も深まり、最近では雌猫で4000円、雄で2000円の補助が区から出る。また、1カ月で3匹分という枠があるが、動物基金からの補助もある。
 こうした3年間の会の活動で、約800匹の手術を実施、1年間に100匹を保護したという。
 岡本さんらは「人間だけがいいという世の中ではだめ。犬も猫もすべての動物も救おう」という使命感に支えられて、今日も区内のどこかで、不幸な猫の保護活動を続けている。

写真上/制服を着て、路地から路地へ動き回るTNRのメンバーたち
中/目いっぱい積まれた捕獲器
下/最近保護された黒白猫