足立朝日

足立学園出身・高松潤さん出演 劇団青年座「ズベズダ―荒野より宙へ―」 宇宙開発にかけたソ連の科学者たち

掲載:2021年8月5日号
 足立学園出身の高松潤さんが所属する劇団青年座の舞台「ズベズダ―荒野より宙へ―」が、9月にシアタートラム(世田谷区)で上演される。
 野木萌葱氏(劇団「パラドックス定数」主宰)による書き下ろしで、米ソ冷戦構造を背景に宇宙開発にかける科学者たちの夢と苦悩を描いた物語だ。野木氏は「東京裁判」や豊田商事事件など、史実をベースにした大胆な創造と緊張感のある会話劇が特徴で、青年座とのタッグは3回目。
 「ズベズダ」は1947年のソビエト連邦が舞台。ソ連はナチスの技術を吸収して秘密裏にロケット開発を進め、1957年、人類初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功。米ソの宇宙開発競争が幕を開け、軍事的な緊張と多くの技術革新が生み出されていく。
 コロナ禍により1年延期されての上演だが、折りしも今年は5月に国際宇宙ステーションに日本人宇宙飛行士2人が同時滞在、7月には民間人の宇宙旅行が大きな話題になるなど、宇宙に注目が集まっている。
 高松さんが演じるのは宇宙開発や計算機科学をはじめとするソ連科学の発展に重要な役割を果たした数学者、ムスチスラフ・ケルディシュ。
 「科学アカデミーの総裁になった、ソビエトのアインシュタインと言われているような人。自分は足立学園出身で下町っ子ですから、その辺のギャップを埋めていかないと」と役作りを語る高松さん。実は大学では航空宇宙工学科で学んでいて、「昔夢見たものが演劇として実現できるのは役者冥利に尽きます」。
 今は稽古が始まったばかりで、膨大な頁数の台本と格闘中。冷戦時代の社会主義国のソ連の雰囲気をどう掴むか、みんなで模索しながら進めているという。
「今年はガガーリンが宇宙に行って60年という節目の年。宇宙に向けてのロマンを追い求めた科学者たちの姿を、ぜひ注目していただきたい。コロナ禍の閉塞した中で、高揚感を味わっていただければ」と話す。
 現代と未来の宇宙旅行につながっているであろう、人類の英知を集めた彼らの物語を味わいたい。
《公演詳細》
【日時】9月10日(金)~20日(月・祝)▽10・15・17日=午後6時半▽11・16日=午後4時▽12・14・18~20日=午後2時、13日は休演
【場所】シアタートラム(田園都市線「三軒茶屋駅」直結)
【料金】一般前売=5500円(当日6000円)、前半割引(10~12日)=4800円(当日5300円)、U25=3500円、U18=2000円、名刺交換割引=5000円
【チケット販売】
▽劇団青年座TEL0120・291・481、HP、世田谷パブリックシアターチケットセンターTEL5432・1515、チケットぴあ
【問合せ】TEL5478・8571劇団青年座

写真上/高松潤さん
下/公演チラシ