足立朝日

異国の地に日本の心息づく キルギス共和国で剣道指南

掲載:2008年9月5日号
◆◇異国の地に日本の心息づく
キルギス共和国で剣道指南

竹の塚在住 小山さん



日本とキルギスの国旗が掲げられている道場
 竹の塚在住の小山子壽(ちかとし)さんは、足立区剣道連盟に所属する剣道7段の83歳。
  4年前に次男の海外赴任先、中央アジアにあるキルギス共和国へ、剣道を習いたいという人たちがいるというのを聞き、指導に赴いた。
  今年6月~7月の1カ月間、独立行政法人・国際交流基金の剣道指導者の募集に合格し、4年前と同じキルギスの首都、ビシュケク市で活動する「水月クラブ」で指導と交流を重ねた。
  初日、道場を訪れた小山さんは正面に掲げられた、日本とキルギス両国の国旗を見て心を打たれたという。
また、正面に「剣道」、背面に「学剣磨心」の銘を見て「これは本物だ」と感じた。
 日曜以外毎日、午前7時~9時、午後6時~8時半の1日2回の稽古が行われたが、会場に早く到着した人が床の雑巾掛けを部長も会員の区別なくしている。道場の出入りには必ず正面に礼をし、小山さんが通る時には、誰もが一歩身体をひき、稽古中の移動も必ず小山さんの後ろを通る。
 「極めて自然に日常化されいる」と小山さんは、何か日本で失われつつあるものが、ここではしっかり根付いているように思った。稽古も真剣そのもので、休憩中も納得のいくまで質問にくる。色々な事情で段位審査会に恵まれず、有段者は一人もいないが「日常の所作から見た感じでは立派な有段者」と小山さん。
 4年前に訪れた時は、剣道の基本、竹刀の手入れ、組立てから着装、安全管理、基本打突を教えた。それからの3年間は、文通、写真、ビデオを通しての指導をしてきが、「正直、ここまで成長しているとは思いもしませんでした」と深い感銘を受け、成長を喜ぶ。
 「遠い異国の地に、日本本来の心を追い求める人たちがいることを、区民の皆さんに知っていただければ」と話す。


休憩中も納得のいくまで質問する
キルギスの会員と小山さん(中央)