足立朝日

掲載:2008年6月5日号
 この7月5日(土)、シアター1010に初めて「歌舞伎」が登場する。 
  「歌舞伎」と聞くと、「高尚で高額。敷居の高いもの」「限られた人間が演じる特別な伝統芸能」と考える読者も多いだろう。
  でも、今作品『応挙の幽霊』は、まさに歌舞伎ルネサンス。主催のNPO法人・日本伝統芸能振興会と、舞台創造研究所による歌舞伎の大革新を楽しめる。鶯亭金升の原案を、竹柴源一が脚色。
歌舞伎に女性が挑戦
 まずは舞台の構成が面白い。第一部は歌舞伎の見方『三番叟(さんばそう)のできるまで』。第二部の歌舞伎舞踊『操り三番叟』へ出演する役者の化粧や、着付けの様子を公開するという驚きの企画だ。本来、楽屋は役者にとってその役柄に入魂する聖域であるが、あえて観劇者がその領域に踏み込み、役者の変身ぶりを見ることができる特別仕立てになっている。
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掲載:2008年5月5日号
 演劇史上最高の悪女と言われる「王女メディア」が5月14日、シアター1010に登場。古代ギリシャのエウリピデスによるギリシャ悲劇の幕が上がる。美しく着飾ったメディアの正体は、大衆演劇で華麗な女形と立ち役が評判の「誠」座長・松井誠。
 昨年のNHK大河ドラマ「風林火山」では北条氏康を演じ、一挙に男性ファンも獲得したが、その雄姿とは対照的に、ロングドレスに身を包み、不敵の笑みを浮かべながら「女はどんな悪事も許される」とつぶやく姿も格別だ。稽古は終盤を迎え、松井の中にメディアの激情の血潮がドクドクと流れ始めている。上演台本は、斬新な企画で世間を驚かせるプロデューサーの笹部博司。演出は、シェイクスピア能を確立した異才・栗田芳宏。美術は朝倉摂、ほか豪華スタッフが揃う。
女はどんな悪事も許される
 物語は案内役(赤坂泰彦)によって語られる。コルキスの王女メディア(松井)は、夫イアソン(山崎銀之丞)が自分と子どもたちを捨てて、コリントス王クレオン(菅生隆之)の娘と結ばれることを知り、3人への復讐を決意する。アテナイ王アイゲウス(菅生二役)に言い寄ったメディアは、自分の擁護を約束させ、クレオンと娘を猛毒で殺害。さらに夫への見せしめのために、我が子をも殺めてしまう。
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掲載:2008年5月5日号
 演劇史上最高の悪女と言われる「王女メディア」が5月14日、シアター1010に登場。古代ギリシャのエウリピデスによるギリシャ悲劇の幕が上がる。美しく着飾ったメディアの正体は、大衆演劇で華麗な女形と立ち役が評判の「誠」座長・松井誠。
 昨年のNHK大河ドラマ「風林火山」では北条氏康を演じ、一挙に男性ファンも獲得したが、その雄姿とは対照的に、ロングドレスに身を包み、不敵の笑みを浮かべながら「女はどんな悪事も許される」とつぶやく姿も格別だ。稽古は終盤を迎え、松井の中にメディアの激情の血潮がドクドクと流れ始めている。上演台本は、斬新な企画で世間を驚かせるプロデューサーの笹部博司。演出は、シェイクスピア能を確立した異才・栗田芳宏。美術は朝倉摂、ほか豪華スタッフが揃う。
女はどんな悪事も許される
 物語は案内役(赤坂泰彦)によって語られる。コルキスの王女メディア(松井)は、夫イアソン(山崎銀之丞)が自分と子どもたちを捨てて、コリントス王クレオン(菅生隆之)の娘と結ばれることを知り、3人への復讐を決意する。アテナイ王アイゲウス(菅生二役)に言い寄ったメディアは、自分の擁護を約束させ、クレオンと娘を猛毒で殺害。さらに夫への見せしめのために、我が子をも殺めてしまう。
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掲載:2008年5月5日号
 社会の片隅に埋もれ、不器用な生き方しかできない人間たちに常にスポットを当てる脚本家・演出家の水谷龍二。切なくも、柔らかな幸せを感じる物語が、またひとつ誕生した。競馬予想屋人情喜劇「そのまま!」の稽古現場が今、静かな熱気を放っている。
不器用に人を思いやる温かさ
 競馬予想屋の石橋(ベンガル)は、家庭を振り返ることなくこの道30年。父を恨む娘・理恵(藤谷美紀)とも離れて暮らす。唯一の弟子・修二(大沢健)も、嘘が許せずに波紋。仲間の予想屋・酒井(小宮孝泰)が仲を取り持とうとするが、徒労に終わる。ある日、石橋の予想で大穴を当てた立花(上杉祥三)の会社が、部下の陽子(星名優里)の言葉で、倒産寸前だと分かる。素性の知れない女・チエミ(山田まりや)も登場。立花は、社運を石橋の予想に賭けるが……。
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掲載:2008年5月5日号
 社会の片隅に埋もれ、不器用な生き方しかできない人間たちに常にスポットを当てる脚本家・演出家の水谷龍二。切なくも、柔らかな幸せを感じる物語が、またひとつ誕生した。競馬予想屋人情喜劇「そのまま!」の稽古現場が今、静かな熱気を放っている。
不器用に人を思いやる温かさ
 競馬予想屋の石橋(ベンガル)は、家庭を振り返ることなくこの道30年。父を恨む娘・理恵(藤谷美紀)とも離れて暮らす。唯一の弟子・修二(大沢健)も、嘘が許せずに波紋。仲間の予想屋・酒井(小宮孝泰)が仲を取り持とうとするが、徒労に終わる。ある日、石橋の予想で大穴を当てた立花(上杉祥三)の会社が、部下の陽子(星名優里)の言葉で、倒産寸前だと分かる。素性の知れない女・チエミ(山田まりや)も登場。立花は、社運を石橋の予想に賭けるが……。
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掲載:2008年2月5日号
 舞台は、古き良き時代のアメリカ。「四人姉妹」の長女エスティ(岩崎加根子)は、元大学教授の夫デイヴィッド(宝田明)の気難しさに閉口。次女コーラ(水谷八重子)は、居候の四女アリー(安奈淳)が、夫セオ(川津祐介)に気がある素振りが心配。三女アイダ(新橋耐子)は、夫カール(大村崑)の病気と、自立できない息子ホーマー(TAKA)が悩みの種。彼が婚約者・マートル(久世星佳)を連れてくることで大騒動が……。
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掲載:2008年2月5日号
 舞台は、古き良き時代のアメリカ。「四人姉妹」の長女エスティ(岩崎加根子)は、元大学教授の夫デイヴィッド(宝田明)の気難しさに閉口。次女コーラ(水谷八重子)は、居候の四女アリー(安奈淳)が、夫セオ(川津祐介)に気がある素振りが心配。三女アイダ(新橋耐子)は、夫カール(大村崑)の病気と、自立できない息子ホーマー(TAKA)が悩みの種。彼が婚約者・マートル(久世星佳)を連れてくることで大騒動が……。
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掲載:2008年1月5日号
 過去2回のシアター1010公演で、数々の「フツーの人」を演じたイッセー尾形。観客を共感と笑いの渦に巻き込んだ舞台が、三度千住に登場する。
 今回のテーマは「イッセー尾形の読む! 書く! 創る! 松尾芭蕉編」。現実を読み込んで、五七五の言葉に乗せるという抽象的作業で、その時代を彷彿とさせる俳句は、自身の制作活動の原点と同じ。無駄を省き、「どうやって舞台に立つの?」というテーマと向き合うと、自分にウソをついている場合は舞台でも輝かない。削いで削いで本当のものを残した時だけ、舞台で一句立ち上げられる。それが「芭蕉」を絡める理由だ。 (さらに…)
掲載:2007年12月5日号
来年1月、ついにブレヒト作「肝っ玉おっ母とその子どもたち」がシアター1010で上演される。ヨーロッパ各国を巻き込んだ30年戦争を、庶民の目で見つめたこの作品を、演出家の西川信廣がエンターテインメントとして描く。
3人の子どもたちを連れて、戦火の中で行商を続ける「肝っ玉おっ母」ことアンナ(草笛光子)。愚かな戦争のために、長男アイリフ(田中壮太郎)、次男スイスチーズ(鍛冶直人)、娘カトリン(鬼頭典子)を次々と失っていく。アンナと司令官付き料理人のピーター(大森博史)、娼婦のイヴェット(久世星佳)との関わりの間で、右往左往する従軍牧師(高橋長英)。司令官(坂部文昭)もスパイスを効かせる。 (さらに…)
掲載:2007年11月5日号
 シアター1010開館以来、もっとも「区民還元」に相応しい「子どもたちの観劇体験」が、芸術鑑賞事業として、昨年に引き続き区教委主催で行われる。作品は、ミュージカル「坊っちゃん!」。
 文豪・夏目漱石生誕140周年記念として、ジェームス三木脚本・演出により、劇団わらび座が制作したこの作品は、愛媛県東温市の「坊っちゃん劇場」での公演を終え、現在、全国巡業中。そして11月10日(土)、老若男女の期待を担って、遂に千住にやってくる! (さらに…)