足立朝日

甲子園目指し戦い抜いた東東京大会 都立足立新田高校ベスト8!

掲載:2010年8月5日号
 第92回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高等学校野球連盟主催)が、8月7日(土)に開幕する。
 東東京大会では足立新田高校(沖田義弘校長、畠中陽一監督)がベスト8と大健闘。都立高校としては最多の、5年連続ベスト16入り(内4回がベスト8)の記録を残した。
手に汗握る5回戦 ベスト16入りを賭け7月21日(水)の5回戦(神宮第二)は、シード校の都総合工科。5‐1とリードされ、8回に3点、9回に1点返して同点に追いつき、延長10回、3ランホームランで逆転勝利した。
 石谷孝章くん(2年)は2試合連続のホームラン。ピッチャーの春原光起(すのはらこうき)くん(3年)は、この日初めて初回からマウンドに立ち、プレッシャーに耐えての勝利だった。
 「7回から後半が勝負のチーム。こういう試合をものにすると、チームに勢いが出る」。走りこみに力を入れた畠中監督のチーム作りが生きた。

因縁の対決・準々決勝
 準々決勝の23日(金)は、これまでも度々、行く手を阻まれてきた国士舘との対戦。初回からの猛攻で前半に7対1とリードされ、5回戦と同様、追いかける展開となった。
 7回に比護歩くん(3年)のソロホームラン、8回に磯啓介くん(3年)の2ランホームランで3点差まで追い上げると、勢いは足立新田に。守りも国士舘には1点も許さず、対都総合工科戦を期待させる粘り強い追撃に、応援団も一気に盛り上がった。
 8回裏の守りには、それまで攻撃時だけの参加だったチアリーダーも前の通路に出て、一丸となって声援を送った。
 選手たちはスタンドの熱気を力に、最後まで強気の攻めを緩めなかったが、惜しくも力及ばず、7対4で敗れた。
 試合後、涙を拭(ぬぐ)う選手たちもいたが、春原くんらが「ほら、笑顔で行くぞ」と励まし、全員で国士舘の控え室を訪問。これまでの対戦チームから託されてきた千羽鶴などのお守りを手渡し、すがすがしい笑顔でエールを贈った。
 選手たちが不利な状況の中、逆転を信じて諦めずに戦い続けた裏には、畠中監督の言葉があった。5回戦、国士舘は14対6コールドで帝京を破った。「10点取られてもいい。10点以上取れるから、焦らずに」。メンタル面が強くなり、大きく成長した。
 春から主将を務める千野維文くん(3年)の、チームをまとめる力も大きい。控え投手で登板はなかったが、「選手として出られなかったことより、キャプテンとして任されて出られたことは人生の宝」と語った。

熱闘応援団
 吹奏楽部は堀口俊英顧問の指揮で、部員27人が気持ちを1つにした。全ての試合に足を運び、選手のテーマ曲など約20曲を演奏、応援を盛り上げた。部長の立見理沙さん(3年)は「普段の演奏と違うのは、気持ちが入ったこと。ハイタッチしたりした」。チャンスの時に演奏するのは「夏祭り」。「夏祭りを吹いて、得点するとうれしい」と話した。
 チアリーダー部は2年間の同好会を経て、3年前に部に昇格。部員も倍以上の34人に増えた。地域のお祭りや文化祭などに参加し、試合を重ねるごとに演奏力が伸びてきたという。「選手たちには、声が届くので励みになる、と言われた」と齋藤芳子顧問。部長の塩谷彩さん(3年)は「楽しいけどハラハラする。力になれるよう、頑張っている」と話していた。
 OB会をはじめ大人たちも、常に選手たちをバックアップ。熱い夏を共に闘った。

足立学園敗れる
 3回戦までコールドで勝ち進んでいた足立学園は、惜しくも4回戦で修徳に0‐10(6回コ)で敗れ、「足立区で甲子園一番乗り」の夢は果たせなかった。

写真=上/中盤以降は新田ペース。逆転に期待がかかったが……
中/応援席に礼を尽くす=対国士舘戦、神宮第二球場で
下/連日の酷暑の中、応援にも熱が入った