足立朝日

VOL.96びっくり箱 朝丘雪路

掲載:2010年8月5日号
人生はいつもびっくり箱

 向田邦子原作「びっくり箱」が9月23日、シアター1010で1日のみ特別上演される。
 向田作品独特の軽快なテンポで繰り広げられる人情喜劇が、大野ゆう脚本、赤堀二英(つぎひで)演出で蘇る。出演は朝丘雪路、赤井英和、篠原ともえ、ヒロシ、仁支川峰子。俳優であり、脚本家でもある赤堀の一味違う演出にも期待が集まる。その手腕は、08年に東京芸術劇場で上演された「玉つき屋の千代さん」でも実証された。
 さて、舞台は長野。20年前に小学校の教員だった夫を亡くし、娘の厚子(篠原)を女手ひとつで育ててきた岸本とし江(朝丘)。一日中ミシンを踏んで内職に励む母の姿を見て育った厚子は、看護学校へ進学するために上京。大学病院で看護師として働き始める。2人を結ぶのは長野と東京を往き来する手紙。しかし、お互いそこには書けない隠し事がある。苦労を重ねたとし江が、厚子に望む結婚相手の条件とは「学歴、職業、収入」。ところが、厚子の恋人・良司(ヒロシ)には、そのどれもが当てはまらない。悲壮なまでの決意をした厚子は、良司を伴い故郷の土を踏むが、そこには突然の娘の帰郷に慌てふためく母の姿があった。なぜならその時、とし江の家では……。
 開けてみるまでわからない。人生はびっくり箱。09年に「仁支川」に改名し、大病を克服して復帰したた元・西川峰子の元気な姿を見ることができる。
 とし江役の朝丘は、シアター1010の舞台経験者。「今回の『びっくり箱』は、離れて暮らす一人娘が彼氏を連れて母親の実家に結婚報告に来る『母娘愛』の物語ですが、私にも現実には女優をしている一人娘がいます。まだ、彼氏を連れて結婚報告には来ませんが……(笑)。シアター1010は、昨年12月、歌舞伎の『加賀見山』で3日間公演させて頂きました。とても素敵な劇場で、今回も楽しみにしています」と懐かしさ全開で舞台に臨む。
 上演日時=9月23日(木・祝) 午前11時半開演。料金=全席指定6300円。1010フレンズ会員は10%引。未就学時入場不可。チケットTEL5244・1011。

写真=下/左からヒロシ、篠原ともえ、赤井英和、仁支川峰子