足立朝日

VOL.100売らいでか! 浜木綿子

掲載:2010年12月5日号
新春を飾る浜木綿子ライフワーク

 2011年1月、遂に「浜木綿子(はまゆうこ)」がシアター1010新春の舞台を踏む。演目は400回以上の公演回数を誇る「売らいでか!」。内容をバージョンアップさせた新版の人情喜劇として上演される。原作=岸宏子、脚本=花登筺(はなとこばこ)、潤色=野田昌志、演出=池田政之。
 明るく貞淑な妻・なつ枝(浜)は、姑・ぎん(正司花江)の嫁イビリにも耐え、内職に精を出しているが、夫・杉雄(左とん平)の浮気に堪忍袋の緒が切れる。「いらん所からいる所へ」と、ダメ亭主と鬼姑を売り払い、それを元手に会社を設立。なつ枝の奮闘が始まる。共演・加藤茶、仁支川峰子、高嶺ふぶき他。
 会場は笑いの渦に包まれるが、浜は「ただの喜劇ではなく、悲哀を背負った女の心も演じます」と話す。「人が人と関わり合って成長する」花登の脚本と浜の名演技により、観客に「人間の愛おしさ」を溢れるほどに伝播させ、深い感動を与える。
 かつて三代目市川猿之助との息子・香川照之を女手ひとつで育て上げた浜。その香川も、現在は演技派俳優として躍進し続けている。しかし、浜と二人三脚で香川を育てた実の母親は、この1月に逝去。浜は、あの大きな透き通った瞳の奥に数々の思いを抱え、人情喜劇という難しいジャンルで、あらん限りの「人間・浜木綿子」を表現しているのではなかろうか。
 この10月31日に、浜は75歳の誕生日を迎えた。誰もがびっくり仰天の事実である。かつて宝塚歌劇団雪組娘役トップとして、舞台を優雅に飾ったころと何の遜色もない容姿と高らかな声。「宝塚の教育は、私にとって人間形成の基礎」と明言する。
 「評判のシアター1010の舞台に立つことを、とても楽しみにしています。以前、舞台で手足に怪我をしてしまったので、板にしっかりと足を置くように気をつけます。この作品の舞台は伊賀上野ですが、その方言が関西弁と似てゆるやかで大好きです。お客様を笑わせたいと欲が出ると良い芝居ができませんので、身を引き締めて舞台に臨みます。今はライフワークのこの舞台のことだけを考えています。足立区に初笑いを! 皆様のお越しをお待ちいたします」
【上演日時】1月7日(金)午後1時、8日(土)9日(日)午前11時・午後3時半、10日(月祝)~12日(水)午後1時。
【料金】7800円、足立区民割引7400円、フレンズ会員7000円。
【チケット】TEL5244・1011。