足立朝日

「染物工場の夏」

掲載:2011年7月5日号
撮影=大室信男さん(71)=西綾瀬3丁目在住
 「天気のよい日は、やぐらにゆかた地や手ぬぐいが風にたなびいてきれいですよ。すがすがしいです」。撮影した大室さんがこう話すこの染物工場は、花畑2丁目にある「旭染工(株)」だ。
 花畑・大鷲(おおとり)神社へ行く手前、綾瀬川沿いにある区内で唯一残ったゆかた地の染物工場。同社は、昭和30年(1955年)の創業で、現在の阿部晴吉社長は、2代目。東京都の伝統工芸士に認定されている。
 同社では、伝統的な工法を改良して明治時代初期に考案された「注染」という技法が行われている。その最初の工程が、染める前の白生地の天日乾燥。自然による乾燥は、布の繊維がつぶれずに立ち、染料の浸透がよくなるそうだ。
 生地巻きされた布地は柄(糊)付け、染色、水洗いなどいくつもの工程を経て、様々な柄のゆかた、手ぬぐいとなって行き、足立にも夏がやってくる――。
【交通】つくばエクスプレス「六町」駅からバス「花畑団地」行きで、「花畑第一小学校前下車」すぐ。
【メモ】旭染工は、TEL3883・0014
(選者・学芸員 小林基治=日本写真会同人)