足立朝日

撮影＝本田君子さん＝草加市在住
　「木々が多く、しっとりとした境内。いいですね。初詣に来てみたい」――。こう話す本田さんは、花畑記念庭園・桜花亭を拠点に活動する写真会「桜花クラブ」のメンバーの一人。
　この日は、花畑７丁目にある大鷲（おおとり）神社まで足を伸ばした。
　今年の初詣は、どの神社も賑わうに違いない。東日本大震災の惨禍から10カ月。大勢の人が、いまだ仮設住宅や親戚の家、違う土地で路頭に迷っている。人々の無数の願い、祈り、誓いが行き交うことだろう。
　ここ大鷲神社は、遠くからでも目をひくうっそうとした樹林が、その神秘性を増している。祭神は、あの勇ましい伝説がある日本武尊（やまとたけるのみこと）。平安時代、源義光が奥州遠征の際、戦勝を祈願したと伝えられているが、今年ここを訪れる人の祈願は「奥州復興」ではあるまいか。本殿向拝の柱にある昇り竜、降り竜の彫刻（区登録有形文化財）はすばらしく、人々の願いや祈りを天地に貫く渾身の勢いがある。
【交通】竹ノ塚駅東口から東武バス「花畑団地」行きで終点下車、徒歩10分。
（選者・学芸員 小林基治＝日本写真会同人）