足立朝日

わらび座が復興支援公演 ミュージカル「アテルイ」新宿で

掲載:2012年2月5日号
 シアター1010で初めて「銀河鉄道の夜」を学校観劇として上演し、子どもたちに深い感動を与えた劇団「わらび座」(本拠地・秋田県仙北市)が、創立60周年を迎えた。
 それを記念して、総観客数20万人を誇るミュージカル「アテルイ」の再演を決定。原作・高橋克彦、脚本・杉山義法、演出・中村哮夫、作曲・甲斐正人、美術・朝倉摂、ほか一流スタッフの手による同オリジナル作品は、1200年前の岩手県胆沢地方が舞台。愛する故郷や家族・仲間を、大和朝廷の侵略から守るために立ち上がった蝦夷(えみし)の英雄・アテルイの姿を通じて、人間の心に巣食う欲望に警鐘を鳴らし、愛の尊さを謳い上げる秀作である。
 劇中には、わらび座が最も得意とする太鼓や民舞、殺陣のシーンがふんだんに盛り込まれ、躍動感溢れる極上のエンターテインメント作品となっている。今回、東京公演を行うにあたり、初演を超えるベスト・キャストが集結。アテルイを演じる戎本みろを始め、敵将でありながらもアテルイと信頼関係を結ぶ坂上田村麻呂に平野進一、物部天鈴・語り部に安達和平、副将・モレに三重野葵、ほか現在のわらび座を担うスターたちが、舞台を所狭しと駆け巡る。アテルイが熟考の末に下す「愛と信頼」の決断には、揺るぎない絆が存在し、感動のラストへと導く。アテルイも田村麻呂も実在の人物。京都・清水寺境内南苑には、アテルイとモレの碑が現存する。
 「東北」にこだわり続けて、優れた「日本のミュージカル」を創作し続けてきたわらび座は、ミュージカル「アテルイ」を大震災後に立ち上がった力強い東北の人々の姿に重ね、「東日本大震災復興支援公演」と位置付けて、収益ならびに原作使用料の一部を義援金として寄付する。
【日時】2月23日(木)24日(金)19時、25日(土)13時、17時半、26日(日)13時。【場所】新宿文化センター大ホール【料金】全席指定7000円。高校生以下1000円引【チケット】わらび座関東・東海事務所TEL048・286・8730、【Eメール

写真/東北の人々に思いを馳せて