足立朝日

境川部屋の元岩木山 断髪式行われる

掲載:2012年2月5日号
 境川部屋(舎人4丁目)の元岩木山(35歳・現関ノ戸親方)が1月28日(土)、両国国技館で開かれた「引退関ノ戸襲名披露大相撲」で、断髪式を行った。
 岩木山は2010年4月、右肘の手術の経過検査の際に脳梗塞が見つかり、九月場所を最後に引退。断髪式は昨年5月の予定だったが、八百長問題による角界の活動自粛により延期になっていた。
《境川部屋を牽引》
 青森県弘前市出身。2年間の社会人経験を経て24歳で入門。2002年に十両昇進し、幕内では小結を2場所務めるなど、部屋の若手の牽引役となってきた。
 184㎝の長身に、多い時は178㎏の巨体で頭からぶつかっていく立ち合いは豪快。額からの流血も多々あったが、「おれの相撲をみんな楽しみにしてくれているから」と、首の怪我に泣かされながらも、自分の相撲を変えなかった。生涯成績は407勝、365敗。
《10年の現役に幕》
 病気が見つかった時は自覚症状もなく、ただただ実感がなかった。「やりたい気持ちもあったけど、このままやめちゃうのかなぁ、と」
 五月・七月場所休場後、九月場所で土俵に復帰したが、体重は35㎏も激減。「高校の時から10年以上かけて作った体が、半年でこうなってしまうのかとショックだった。体を作って幕内に戻るのに、どれくらい時間がかかるか」。そう考え、引退を決意した。
 現在は部屋付き親方として、師匠の境川親方(元両国)のもとで、後進の指導に当たっている。
 朝5時半から序二段の稽古を見る生活は、現役時代よりハード。指導もまだ手探りだ。「自分と若い子の取り方が違うので、取るほうが楽」。師匠からは「指導する立場の人がさじを投げたらだめだ。わからなければ、根気良く毎日同じことを言わないと」と、指導者の心得を教わる。「自分も毎日毎日同じことを言われてました」と苦笑する。
 同じ区内にある玉ノ井部屋とは、出稽古で行き来する良きライバルだ。「玉ノ井部屋には負けませんよ」。大らかな笑顔が頼もしい。幕内力士4人を抱える部屋の親方として、今後を楽しみにしたい。

写真/見納めとなったマゲ姿で、関ノ戸親方として区長を訪問=足立区役所で