足立朝日

南極観測隊員・ジョー山田さんからの報告 手作り除夜の鐘で年越し

掲載:2012年3月5日号
 南極観測隊員の山田ジョー武さん(花畑在住) から、船上と現地での生活についての続報が届いた。
 オーストラリアから南極まで隊員を運ぶ南極観測船しらせの乗船期間は、1カ月。隊員たちの能力やキャリアを生かす仕事は現地に着くまでないため、暇つぶしが最大の仕事だ。
 船上生活に必要なことは全て自分たちで行う。その中の一つが、散髪。艦内にはちゃんと美容室があり、そこでは隊員が即席の美容師に早変わりする。
 山田さんも素人ながら、美容師を体験。なかなかの評判で、顧客が結構いるのだとか。以下は、山田さんとお客さんの会話。「ジョーさん、髪切るの得意なの?」「得意って言うよりも、好きなのかな」「よく髪切ったりしているの?」「うん、しているよ。うちのワンちゃんのね」。切る方も切られる方も、日本ではなかなか機会のないユニークな体験には違いない。
 こうした日々を経て、南極に到着した山田さんは、食っちゃ寝の毎日で7㎏も太ってしまったそうだ。
 昭和基地では、季節感や年中行事を大切にしている。面白いのが、お正月。ドラム缶で作った除夜の鐘で年を越し、新年はおせち料理で祝う。「初日の出はもちろん白夜なので、いつが〝初〟なのかわからず、適当に太陽を指さして〝初日の出〟と決めました」
 メールが届いた2月6日(月)は、風速約25㎞で外出禁止。前日も午後から雪と強風で外の作業が中止になったそうで、仕事の進行に苦慮している様子が伺えた。
 現在、山田さんの第53次隊は越冬隊を残して、すでにしらせで帰途についている。今日も、暇つぶしに苦労する日々を送っていることだろう。
 帰国は3月下旬予定。盛りだくさんの体験談を楽しみに待ちたい。

写真上/南極で正月を迎えた隊員たち
中/ドラム缶のお手製除夜の鐘を突いて年越し
下/厳しい環境でも充実した毎日