足立朝日

「水ぬるむ大師の池」

掲載:2012年3月5日号
撮影=石原俊昌さん(65)=花畑2丁目在住
 平安時代の天長3年(826年)に弘法大師が創建した西新井大師は、古くから川崎大師とともに厄除け開運の霊場として有名だ。
 毎月21日が縁日。この日は100軒を超える出店があって賑わう。
 本堂に向って左手にある池には、亀やニシキゴイがいて、参拝者の癒(いや)しのスポットになっている。
 撮影した石原さんは、家の近くにある大鷲(おおとり)神社もよく行くが、大師もお気に入りのお寺の一つ。「毎月の縁日に必ず行きます。雨の日はやめますが、代わりに天気になった日に行くので、年間12回の皆勤賞ですよ」と笑う。季節の移ろいを楽しみ、骨董品屋さんなどのお店を眺めて回るのが大好きなのだそうだ。
 極寒が続いた今年の冬よ、さようなら。3月、さすがに池の水もぬるみ始めた。21日(水)を皮切りに、4、5月の縁日には植木市が行われ、4月から5月中旬まで毎年恒例の「大師花祭り」が開かれる。本堂横のしだれ桜が開くと、本堂前にある藤棚が紫に色づく。そして、大輪の牡丹の饗宴へと引き継がれていく。
 「大師へ行くと、心が落ち着きます。今年も出店を回り、池を眺めて一年を過ごしたい」と石原さんはニッコリ。 
(選者・学芸員 小林基治=日本写真会同人)