足立朝日

Vol.116百物語シリーズ 白石 加代子

掲載:2012年4月5日号
宮部みゆき江戸怪談2本立て

 時には背筋がゾッとして、時には笑い転げる恐怖を体験できる白石加代子の『百物語』シリーズ。第二十九夜の作品は、宮部みゆき江戸怪談の金字塔、第九十三話『お文の影』、第九十四話『ばんば憑き』。
 前者は、影踏み遊びの子どもたちの一つの影にまつわる悲しい事件。後者は、旅先で若夫婦と相部屋になった老女が、夫に語る恐ろしい過去の出来事。
 どちらも宮部怪談の深く心に沁み入る言葉の一つひとつに、白石が魂を込めて息吹を吹き込む。
 いよいよ迫る百話までの道のりと、その思いを白石は次のように語る。
 「『百物語』シリーズは、1992年6月にスタート。第二十九夜の公演で『20年!』を迎えることになります。これまでの94作品の中で演じてきたのは、老婆や悪女、牛、お侍、この世のものではない存在も……。
 毎回自分で演じながらも『何が出てくるんだろう』『こんなこと本当にできるかしら』とドキドキわくわくしながら取り組んできました。作品は、演出家の鴨下信一先生とプロデューサーの笹部博司さんが、毎回新鮮で斬新な逸品を決めてくださるのですが、一筋縄ではいかないものばかり。この簡単ではない道のりを、先頭に立って導いてくださるのが、鴨下先生です。的確な演出で、作品の素晴らしさと私の演技を繋いでくださるだけではなく、私が迷ったり悩んだりしているときに、必ず解決の糸口をくださるのです。鴨下先生なしでは、『百物語』の20年はあり得なかったことでしょう。
 プロデューサーの笹部さんとは長いおつきあいで、言いたいことを言い合える存在です。『加代ちゃん、今回もいいね!』と言ってくれた時は、他の誰に言われるより『してやったり!』と思うのです」
 足立朝日新聞読者には以下のメッセージ。「行間や余韻をくみ取り、時に何人もの登場人物を想像し、何年もの時間を飛び越え、笑い、泣き、心を動かしてくださるお客様の想像力に支えられて、この舞台を続けてまいりました。本当に感謝申し上げます。また、是非劇場でお会いしましょう!」
【日時】6月17日(日)午後5時半【場所】シアター1010【料金】4800円、フレンズ会員10%引【チケット】TEL5244・1011。