足立朝日

スポーツで世界を目指せ 足立の子どもたち

掲載:2012年5月5日号
 5月5日は子どもの日。足立区の誇る元気な子どもたちの中から、スポーツで世界の舞台に挑戦した2人を紹介しよう。

◆柔道=樋口裕大(ゆうた)くん/興本扇学園9年(中学3年)
 昨年8月の第42回全国中学校柔道大会で準優勝し、強化選手に選ばれた。
 強化メニューの10㎞走る朝練は「めちゃくちゃキツイ」が、その努力の甲斐あって、3月24日・25日にドイツで開かれたブレーメン国際大会55㎏級で、5位の好成績を収めた。
 「もう少しいけるかなと思った。すぐ1本取られちゃったので、何もできない感じだった」と初の国際試合を振り返る。初めて対戦した外国人選手は力が強く、思うように力が出し切れなかったようだ。
 柔道教室のコーチをしている父の影響で、柔道を始めたのは幼稚園の頃。大阪から単身上京。寮から興本扇学園に通い、柔道部で技を磨く日々だ。
 掛川真幸(まさき)顧問は、「スピードがあって、柔道がわかっている」と、センスの良さを評する。最初に会った時は、「小6で耳がつぶれている子は、初めてみた」と驚いたという。何度も畳に押し付けられて変形する「柔道耳」は、練習量の多さの証明だが、樋口くんは「練習はあんまり好きじゃない。だけど、出来なかった技ができたり、勝ったらうれしい」。
 身長157㎝、体重56㎏。目標は野村忠宏選手という。夢は「オリンピックに出て活躍したい」。小柄な体にみなぎるパワーで、6月の全国大会優勝を目指して頑張っている。
◆フィギュアスケート=國方勇樹くん/千寿本町小6年
 昨年10月、第15回全日本フィギュアスケートノービス選手権大会のノービスB男子で初優勝した(※ノービスB=小学4~5年)。
 「うれしかった。大きなミスをしないで、最後までちゃんと滑りきれた」。この成績が評価され、4月13日・14日にイタリアで開かれた14歳以下の国際大会、ガルデナ・スプリングトロフィーに遠征した。
 他国の代表はノービスA(小学6年~中学1年)より上のジュニアで、カテゴリーが2つ上の選手ばかり。國方くんは最年少出場者で力の差が大きく、ほろ苦い国際大会デビューとなったが、「今回は挑戦だったから、そんなに緊張しなかった。行ってよかった」、とマイペース。イギリスとアメリカの選手と、友だちにもなれたという。
 本格的にスケートを始めたのは2年生の頃。「テレビでやっていて、楽しそうだったから」。練習は、週1日の休みを除いて、毎日夕方3時間、木曜には朝練もある。コーチの厳しい指導に、泣きながら登校することもざらだ。
 練習に付き添う母の敬子(ゆきこ)さんは、「練習で疲れて宿題ができなくて、何度も親子ゲンカになった」。スケートをやめるように言っても、「絶対やめない!」と本人の意思は固かったそうだ。
 得意なのはスピンと、2回転半ジャンプの中で最も点数の高い3連続ジャンプ。今は3回転に挑戦中で、目標は「3回転を全種類プログラムに入れて、どんな試合でも勝てるようにしたい」。
 「将来の夢は、世界選手権で表彰台に乗ること」と國方くん。憧れの羽生結弦選手やフランスのブライアン・ジュベール選手のように、世界の舞台で活躍する日を期待したい。

写真上/柔道部の稽古場で全国大会優勝を目指す樋口くん=興本扇学園で
中/男子には難しい高く足を上げたスピンを披露=夏季ジュニア大会で
下/夢に向かって頑張る國方くん=千寿本町小で