足立朝日

足立新田高校出身 千代大龍が新入幕 支援会が化粧まわし贈呈

掲載:2012年5月5日号
 大相撲夏場所(5月6日初日)の番付で、都立足立新田高校相撲部出身の千代大龍(九重部屋/本名=明月院秀政・23歳)が新入幕となった。
 都立足立新田高校支援会(鈴木高弘会長/同校元校長)は、募金を集めて化粧まわしを贈り、同校初の快挙を祝った。
〈明月院くんから千代大龍へ〉
 相撲部を目指して平成16年に同高校に入学。インターハイ個人決勝トーナメント進出、関東総合大会優勝など活躍した。日本体育大学では、全日本学生選手権大会で優勝、学生横綱となった。
 昨年1月に九重部屋に入門、五月技量審査場所で、幕下十五枚目付き出しで初土俵を踏んだ。新十両として臨んだ今年の初場所で優勝、春場所では11勝し、初土俵から6場所でのスピード入幕を果たした。
 千代大龍は「時間がかかっても上がれると思っていたので、予想より早かった。もっと力をつけないと幕内ではやっていけない」と冷静。十両の結果には、「キャリアがあるし、九重親方の指導もいいので」と自負も。稽古中に傷めた右足の剥離骨折が心配だが、「五月場所の目標は三賞。今年中に三役」と意欲的だ。
〈都立高唯一の相撲部〉
 同高校に相撲部ができたのは、平成13年(2001)。創部のきっかけとなった琴仁成(ことにんせい・本名=成田篤・H16卒/佐渡ヶ嶽部屋)をはじめ、栃颯(とちはやて・本名=橋本良介・H22卒/春日野部屋)、長谷山(本名=長谷山正典・H23卒/春日野部屋)、千代大龍の4人が角界入りしている。
 満留久摩(みつどめきゅうま)顧問は当時の明月院くんを、「相撲に対して真剣。強さに貪欲で光るものもあった。自分が関わった生徒がそこまで行ったのが、本当にうれしいし、一ファン」と話す。
〈支援会からのエール〉
 「支援会」が発足したのは昨年。元教職員、元PTA、地元町会など10人が役員に名を連ねる。
 同校は、かつては風紀など問題が多かったが、鈴木校長、続く荒川兼一校長(支援会事務局長)時代に大きく変革。今は相撲のほか、野球、陸上など、多くの生徒たちが全国的に活躍している。
 その象徴ともいえる千代大龍を応援しようと、支援会では今年1月から1口3000円で寄付を募り、400人超から約250万円が集まった。
 化粧まわしは、千代大龍の希望で校章をデザイン。校歌の一節「したたかにさくら草咲く」から取った「したたかに咲く」も記されている。新田は昔さくら草が群生していた地域。「沼地でしたたかに生きているさくら草のように、根強く負けないで生きていって欲しい」との、支援会の願いが込められている。
〈化粧まわしの贈呈式〉
 化粧まわしの贈呈式と祝賀会は、4月25日(水)、新田町会館で開かれた。
 鈴木会長、沖田義弘現校長、満留顧問らが、万感の思いをこめてエールを贈った。千代大龍は「校章入りの化粧まわしを締めて土俵に上がるのは一つの目標だったので、感激している。新田地区で育った新田高校の卒業生として頑張っていきたい」と力強く宣言。今後の活躍を期待したい。

写真上/校章をデザインした化粧まわしを贈られた千代大龍。「青がきれい。おしゃれですね」と満足そう=新田町会館
下/万感の思いをこめて挨拶する鈴木支援会会長