足立朝日

黒澤明アカデミー事務局長 松尾 民夫 さん (73歳)

掲載:2012年5月5日号
黒澤明、映画のこと、何でも話します

 この人に黒澤明、映画のことを語らせたら、もう誰も止められない。  昔の区役所の跡地に建った22階建ての東京芸術センターの2階に、ブルースタジオがあり、その横に松尾さんが常駐する黒澤明アカデミーの黒澤明コーナーがある。
 松尾さんは、「自分が黒澤のこと、映画のことを語らなければ……」との気概に満ちた毎日だ。
 1957(昭和32)年東宝の撮影所製作部技術課入社、撮影スタッフとして58作品の劇映画に22年間携わり、その後、東宝映画制作部スタッフとして、50作品の劇映画制作、技術などの企画・調整・仕上げに携わった。
 撮影では、黒澤明監督の「悪い奴ほどよく眠る」「用心棒」「影武者」、成瀬巳喜男監督の「杏っ子」、岡本喜八監督の「激動の昭和史 沖縄決戦」、浦山桐朗監督の「青春の門」など多くの監督と仕事をしてきた。
 2006(同18)年から「黒澤明の後継者を育てよう」という趣旨の黒澤明アカデミー「黒澤明塾」事業に事務局長として参画。
 ここでは、黒澤監督関連を含む映画の書籍や、宣伝用スチール作品などの資料を見ることが出来る。また、自らを「映画おじさん」と称する松尾さんの話も聞ける。
 「黒澤作品は全30作すべてすごい」と語る松尾さんに「敢えて好きな作品は?」と無理な質問をすると「第1作の『姿三四郎』、14作の『七人の侍』、23作の『赤ひ
げ』かな」との答え。
 同コーナーは、火~土の午前11時~午後6時に開いているが、3月から土曜日の午後1時半~3時に「おしゃべり会」を開催。出入り自由で、テーマは黒澤明のこと映画のことなど何でも。
 また、ボランティアとして出張講演も行う。「映画研究会や中・高・大学の文化祭に呼んでください」と松尾さん。
《メモ》 同コーナーはTEL5284・1131、FAX5284・1133。