足立朝日

Vol.117荒馬座

掲載:2012年5月5日号
未来へ向けて創立45周年記念公演

 永い歴史の中で、自然の恵みに感謝しつつ、荒ぶる自然を畏怖してきた人々が、喜怒哀楽を込めて創り上げた民族(民俗)芸能……。それが今、改めて注目されている。
 真摯な思いでそれらを学び、自らの舞台創造に活かして首都圏に民族芸能の種を蒔き、花を咲かせてきた民族歌舞団「荒馬座」。創立45周年の節目に「未来は祭の輪の中に」をタイトルに掲げた記念公演が、この6月に「シアター1010」で上演される。今回は、同座周年行事初の2回公演。入魂の舞台が期待される。
 昨年3月11日に発生した東日本大震災により、被災地の民族芸能継承者たちも甚大な被害を被った。「荒馬座」は、人々の生活に根付いた民族芸能が、苦難を乗り越え再生への足掛かりになることを信じて、即チャリティー公演を実施。来場者からの善意と「荒馬座」作製の「頑張れ東北手拭い」収益などを義援金として、「中野七頭舞保存会」(岩手県岩泉町)「鵜住居(虎舞)青年会」(釜石市鵜住居町)「浦浜念仏剣舞保存会」(大船渡市三陸町越喜楽)に贈った。「浦浜念仏剣舞保存会」の古水力会長には、5月の新宿公演での共演も依頼し、桶胴太鼓2台も贈呈した。
 これら被災地への深い鎮魂の思い・復興への願い・45周年の感謝を込めて、「荒馬座」はシアター1010に登場する。第1部は「白鳥まつり」「江戸のまつり」(まとい、はしご乗り、獅子舞)。さらに勇壮な「荒馬踊り」「浜獅子祓い太鼓」。最後の「中山太鼓」では、同公演を通して「地域に祭りの輪を作りたい」という思いの象徴として、同実行委員と座員が輪を作り太鼓を叩く。第2部は、三陸港まつりとして「浦浜の鎮魂歌」「虎舞(=写真)」「七頭舞」、続けて稔の明日を祈願して「津軽三味線」「曳き山祭囃子」「竿灯」、そして最後は「秩父屋囃子」。
 「荒馬座」企画制作部の淺井好子さんは、足立区の元保育士。勤務先で同座の太鼓指導を受けたことが転機となり、この世界に飛び込んだ一人だ。同座の魅力は、力作のホームページで見ることができるが、やはり生の迫力を味わいたい。
【公演日時】6月30日(土)午後1時・6時半開演【料金】前売=4千円、子ども・障がい者・65歳以上=3千円、当日は300円増、フレンズ割引あり【チケット】TEL5244・1011。