足立朝日

足立区防災訓練 生物園に初の動物救護所設置も

掲載:2012年12月5日号
 足立区総合防災訓練が11月11日(日)に行われた。
 これまで訓練の中心だった荒川河川敷は使わず、区内9カ所の第一次避難所(小中学校)、6カ所の第二次避難所(福祉避難所)、北千住駅前、舎人公園、生物園、区役所本庁舎の19カ所で実施。
 第一次避難所は区民が自ら立ち上げ、福祉避難所は開設と受け入れの訓練を行うなど、昨年の東日本大震災を教訓に、より現実に即した形となった。
 今回、動物を対象とした、新たな訓練も行われた。負傷した動物を収容するための動物救護所を、生物園の屋外バックヤードに設置。生物園は場所の提供のみで、訓練には区獣医師会の医師3人、区の生活衛生課職員が参加した。
 テントとケージ(檻)17個が運び込まれ、手際よく設置された救護所で、関根威夫獣医師会会長、磯洋一獣医師、山本滋子獣医師が、犬や猫のぬいぐるみを使って飼い主を登録したICチップの有無を確認、治療を施した。
 ケージとペットフードが備蓄されたのは、今回が初。「今後は医薬品なども備蓄できれば」と山本獣医師。
 ペットを飼う家庭が増えている中、災害時の避難が、昨年に震災で課題として浮かび上がった。ペットの防災対策は、家族の一員として心の拠り所でもある動物の命を守ると同時に、動物から伝染病を発生させないという意味でも重要となる。
 足立区には犬だけで1万頭以上いるという。生物園はあくまで負傷した動物の救護所で、収容施設は都市農業公園に設置される予定だが、到底収容しきれない。
 「本来は避難所ごとに、同行避難の対応をして欲しい」と関根会長。磯獣医師も「避難所の外に、飼い主がケージのままペットを置けるスペースの確保を考えて訓練して」と訴えている。

写真/動物の救護所を設置、獣医師らが訓練した=生物園で