足立朝日

津波で亡くした子への思い 絵本『ひまわりのおか』朗読会 星野真弓さんが刺繍で被災地支援 2/10(日)

掲載:2013年2月5日号
 東日本大震災で津波の犠牲になった、宮城県石巻市立大川小学校の児童の母親8人が、わが子への思いを綴った絵本「ひまわりのおか」。その朗読会が、2月10日(日)、学びピア4階講堂で開かれる。
 主催はNPO法人地域の芽生え21(桑原里保理事長)、手刺繍の会(星野真弓代表)、NPO法人元気になろう福島。足立区共催。
 大川小学校遺構周辺にひまわりを植えるなど支援を続けている、地域の芽生え21の復興支援代表・桑原有広さん(48)は、足立4丁目在住。現地で刺繍教室を開いているクロスステッチ・アーティストの星野真弓さん(40)は東和3丁目在住で、共に足立区民。それを知った昨年秋から交流が始まり、朗読会を企画した。
◆天使の刺繍を寄贈~星野さん
 北千住や恵比寿で刺繍教室を開いている星野さんが、刺繍の鎮魂作品「天使」を大川小の遺族会に寄付したのは、昨年5月。
 「同じ子どもを持つ身として、何かできないか」、と震災直後から取りかかり、1年がかりで仕上げた。鎮魂の願いを込めて、愛らしい2体の天使を取り巻く花は、亡くなった児童数と同じ。心にそっと寄り添うような癒しの作品は遺族に受け入れられ、現大川小校舎に飾られている。
 寄贈をきっかけに石巻市で刺繍教室・石巻手刺繍の会を開催。1~2カ月に1回、ボランティアで通っている。心が弾むような明るい色とかわいいデザインのキーホルダーやトートバッグ作りは、お母さんたちの癒しの作業となっている。
 絵本に登場する8人の遺族のうち4人が刺繍教室に参加し、一歩一歩前に進んでいる。「心の支援として始めたのに、勇気をもらって帰ってくる」と星野さん。遺族会の中には、まだつらくて絵本を見ることができない人もいるが、暗いイメージばかりが語られていることに、違和感があるという。
 「前向きな姿を知ってほしい。足立区から発信して、伝えていかなければならないのでは」との思いが朗読会につながった。「私は自分ができることをやっただけ。私の活動を見て、自分にもできるんじゃないかと思ってもらえたら。今までは大きな力が必要だったけど、これからは行き届いた個人の力も必要」と話す。
 星野さんの連絡先=「手刺繍の会」TEL5652・1561、HP
◆絵本「ひまわりのおか」
 大川小学校近くの丘で、失くした子どもへの愛情をこめて、ひまわりを育てている8人のお母さんたちの手紙を、葉方丹氏の文、松成真理子氏の絵が絵本にまとめた。
 わが子への思いを綴った手紙からは、深い愛情と悲しみが溢れ、胸を突く。失った日常の大切さは、決して他人事ではない。税別1500円、岩崎書店刊。
◆絵本「ひまわりのおか」朗読会
【日時】2月10日(日)午後1時、5時(2回公演)
【場所】学びピア(生涯学習センター)4階講堂
【料金】無料
【内容】▼絵本朗読=岡野綾氏(NHK「まちかどド・レ・ミ」歌のお姉さん)▼特別講演「東日本大震災で学んだこと・大川小学校の今」=千葉照彦・大川小校長▼画文集「ふるさとはフクシマ・子どもたちの3・11」朗読=小松里歌氏・疋田由香里氏(声優)▼歌「君へ」=堀江真美氏(ピアニスト、歌手他)他
【定員】各回先着200人(要予約)
【申込み方法】住所・氏名・連絡先・年齢・希望の回・メールアドレス(あれば)を知らせる。区民参画推進課TEL3880・5020(午前9時~午後5時)、FAX3880・9133、メール
★手刺繍タオル販売
 石巻手刺繍の会のお母さんたちが、愛情を込めて刺繍したウォッシュタオルを販売する。「自立を支援したい」と、星野さん。
 タオルのブランド、今治・池内タオルの「風で織るタオル」は、赤ちゃんが口に入れても大丈夫な竹繊維製で、吸水性抜群。カシミヤやシルクのような、柔らかく滑らかな手触りは、タオルとは思えないほどの心地よさ。
 刺繍はA~Zのアルファベット。タオルの色はピンク、ブルー、グリーンの3種類。1500円。

写真上/自身のクロスステッチ作品の前で星野さん
下/大川小遺族会に寄贈した『天使』