足立朝日

弱者災害対策シンポジウム 日頃から地域のみんなと一緒に

掲載:2013年2月5日号
 シンポジウムと交流会「弱者たちの災害対策 地域ネットワークをつくる」(米重哲彦実行委員長)が1月13日(日)、竹の塚センター会議室で開かれた。
 主催は視覚障害者支援団体「NPO法人アイ・サポート」(三谷求代表理事)、高次脳機能障害者支援団体「NPO法人足立さくら会」(渕脇美佐子理事長)、就労知的障害者支援団体「あだち日曜教室を育てる会」(山本美惠子代表)、「子どもを地域でサポートする会★キラリン」(高梨修代表)。いずれも区内の団体。
 一昨年の東日本大震災以降、自分自身を守る「自助」と、地域住民が助け合う「共助」の重要性が説かれている。障害者が震災時に、行動や伝達の不自由さによって孤立することを防ぎたいと企画。「弱者たちの」としたのは、高齢者、乳幼児連れ、負傷者も同様との考えによるもの。
 シンポジウム「足立区の災害対策と区内避難所を学ぶ」には、キラリンの高梨代表をコーディネーターに、五反野小学校地域合同防災懇親会・和田正仁会長、足立あかしあ園・今野光信総合施設長、足立区防災計画担当課・山下広幸課長がパネリストとして参加。11月に行われた区の防災訓練で得た課題などを発表した。
 2年連続、視覚・知的・高次脳機能の障害者や車椅子利用者を受け入れた五反野小避難所の和田会長は、「懸念はあったが、思ったよりスムーズにできた。障害に応じた対応が必要と感じた」。二次避難所として通所者と特別支援学級生を受け入れた足立あかしあ園の今野施設長は、「実際の災害時での困難なことが具体的にわかった。二次避難所の周知も必要」など課題とともに、「キーワードは〈日頃から〉と〈地域のみんなと一緒に〉」と語った。
 高梨コーディネーターは、訓練時にほとんどの障害者が受付で名前が書けなかったことから、聴覚や言語理解に障害がある人は食料配布に対応できないのではないかとの不安を挙げ、自己紹介カードを区民全員が持つことを提案。今野課長から「関係団体と連携しながら考慮していきたい」との回答があった。
 足立区の食料や水の備蓄は20万人分があるが、避難所への避難人数の想定は28万人。備蓄の保管場所に苦慮している現状もある。「体育館は冷暖房もプライバシーもない。家の中が安全なら、そこで過ごしてもらうのが一番」「近所は近助。日頃から近所の付き合いを大切に」と今野課長。
 家では特別な災害用保存食にこだわらず、日頃食べているもので保存性のあるものを、最低3日、できれば1週間分保管しておくことが重要だ。
 シンポジウム後は、陸前高田市の仮設入居者による「ちーむ麻の葉」のドレスタオルと、調理ボランティアと知的障害者が作ったチャリティすいとんを販売。すいとんの売上金は、全てちーむ麻の葉に寄付される。
 誰でも、ある日突然、事故や病気で不自由者になる可能性があり、震災時には特にその危険性は高まる。他人事ではなく、一人ひとりが日頃から真剣に考えたい。

写真上/防災訓練で見えた課題を話し合った=竹の塚センターで 
下/11月の訓練のようす=足立あかしあ園で