足立朝日

Vol.126人生は、ガタゴト列車に乗って……

掲載:2013年2月5日号
浜 木綿子「芸能生活60周年」記念舞台

 一昨年、シアター1010新春舞台を『売らいでか!』で飾り、大好評を博した浜木綿子が、「芸能生活60周年」を迎えて、再び同劇場に登場する。今回は、第15回菊田一夫演劇賞大賞受賞作品、ファン待望の『新版 人生は、ガタゴト列車に乗って……』を上演。
 「芸能生活60周年を迎えたということを私は知らず、お客様から教えていただきました。1歳から始めて、今ちょうど60歳でございます」と浜は冗談を交えて明るく笑う。菊田没後、17年目にして大賞を受賞したことを、「やっと認めてもらえたのが、この芝居で私が演じる井上マス役でございます」と話す。井上マスは、作家・故井上ひさしの母で、今作品の原作者。
 マスを演じるにあたり、浜は抱負を語る。「マスさんの人生は過酷な苦労の連続。しかしそれを苦労と思わず、不屈の精神で立ち向かっていきます。とても深い人生なので、ちょっと愉快に面白く演じたいと思います。凄まじい生き方を皆さんにご覧いただいて、勇気をお持ち帰りいただきたいと思います」
 左 とん平との共演について、浜は話を弾ませる。
 「とん平さんとのお付き合いは20代からで、本当に永いですけど、お互いが老けちゃってね(笑)。いつも会うと、どちらが長生きするかしらという話ばかりです。とん平さんは、とてもシャイな方です。舞台はとても面白いですが、普段はあんなに面白くないですよ(笑)。でも、あ・うんの呼吸で芝居が出来るので、とん平さんに出会ったことは私の人生の中でも素晴らしい出来事です。今度の役は、こんな言い方は何ですが、ハゲ親父(笑)」
 笑顔と笑いの絶えない浜であるが、かつて宝塚歌劇団雪組娘役トップとして一世を風靡し、華やかな舞台の裏の厳しさも熟知している。それ故に、愛息で俳優・香川照之の九代目市川中車襲名披露、愛する孫・政明の五代目市川團子初舞台には、心に去来するものが多くあったはずだ。同じ芸能の世界に身を置く者同士、磨きぬいた演技で舞台を飾り、一層輝きを増す。
 最後に浜から足立区民にメッセージ。「足立区の皆様、大好き!」
【上演日】3月28日(木)~4月7日(日)【料金】7800円、足立区在住・在勤、フレンズ会員7400円【チケット】TEL5244・1011