足立朝日

福岡生まれの劇団SAKURA前線 足立区からモナコの世界演劇祭に

掲載:2013年4月5日号
 熱いセリフが飛び交い、時に笑いが炸裂する。激動の時代の中、命を賭けた剣を打ち合う若者たちが、さっそうと舞台の上を駆け抜ける。
 スピート感溢れる芝居から投げかけられるのは、仲間との友情、生きる過酷さ、そしてその意味。
 新選組を描いた「サンセット・ダイアリー」が今年8月、モナコ公国で4年に1度開催される「世界演劇祭」に正式招聘されることが決まった。
 上演するのは、劇団「SAKURA前線」。福岡で98年、池田建太代表と、伊緒里優子さんが旗揚げし、これまで様々な作品を韓国やベルギーの演劇祭などで上演。15回もの海外公演を成功させ、高い評価を得てきた。一昨年7月、新しい可能性を求めて上京し、現在は足立区中川3‐10‐6を拠点に殺陣道場とともに運営している。
《チャンバラで魅せる》
 全ての脚本・演出は、看板女優である伊緒里さんが石井亮名義で手がける。時代物など「和物」が多く、チャンバラが売りの一つ。士剣流殺陣道宗家の池田代表が、リアルな殺陣を振り付ける。
 「サンセット」は、山で遭難した兄と妹が幕末にタイムスリップし、新選組の隊士として、必死にもがきながら生きようとする物語。コメディを織り交ぜ、音楽とダンスをスパイスに飽きさせない。
 「海外の人にも楽しんでもらえるように、見せ場を頻繁に入れるようにしている」と伊緒里さん。創立2年目、初の海外公演の韓国で、言葉がわからないはずのお客さんたちが、すすり泣き、笑った。「国を超えても伝わることを信じていなかった。演劇の力を軽く見ていた」と反省。その後の指針となった。
《世界演劇祭》
 毎回各国から1団体エントリーした中から、審査で選ばれた18団体のみが参加できる伝統あるもの。SAKURA前線は8年前の公演での高評価から、国内で最も豪華で歴史あるガルニエ・モンテカルロ歌劇場が上演の場として与えられる。
 「プレッシャーだけど、(海外では)映像的で派手と言われるお芝居でビックリさせたい」。国内での上演はまだ未定だが、モナコから持ち帰った興奮と感動を、ぜひ足立区でも見せて欲しい。
●「五色桜EKIDEN」で殺陣を披露
 4月14日(日)に荒川河川敷で開かれる日米桜交流100周年記念駅伝で、寸劇と群舞を披露する。チャンバラも必見。荒川江北橋緑地で午前10時半から。
 劇団SAKURA前線TEL5856・0499。

写真/「サンセット・メモリーズ」の一場面