足立朝日

全盲の佐藤翔くん(10歳) ヘレン・ケラーコンクールで ピアノ1位を受賞

掲載:2013年5月5日号
 皿沼在住の佐藤翔くん(当時小4)が、昨年11月10日(土)の「第62回ヘレン・ケラー記念音楽コンクール」(東京ヘレン・ケラー協会主催)ピアノ2部(小学生高学年)で、1位を受賞した。
 昨年は低学年の部でも1位に選ばれ、2年連続の受賞となった。
 同コンクールは1949年に全国盲学生音楽コンクールとして始まり、盲目のピアニスト・辻井伸行さんなど国際的に活躍している音楽家を輩出している。
 翔くんは筑波大学附属視覚特別支援学校(文京区)に在籍、皿沼小学校に副籍を置き、年に1度交流学習を受けている。
 ピアノを始めたのは4歳から。遊べるおもちゃは音の出るものに限られていた中で、キーボードに辿り着いた。
 1本指だったが何時間でも弾き続ける様子を見た母の政美さんが、鹿浜のピアノ教室を訪れたところ、たまたま盲人指導の経験のある先生だったこともあり、すんなりと門下生に。言葉で教えられるだけで指使いを覚えてしまう記憶力の良さで、ぐんぐん上達した。
 コンクールではエチュード(練習曲)を演奏したが、クラシックはなかなか思うように弾けずに苛立つことも。実はアニメソングやJ‐POPが大好きで、ゴールデンボンバー、いきものがかり、モンゴル800などがお気に入りという。「アレンジが好き。アニメソングをクラシック調にしたい」と翔くん。
 6歳から始めた電子ドラムに熱中する時間も多い。和太鼓が好きで遊びに行った楽器店で、出会ったのがきっかけ。聞いただけで叩けるようになり、今は教室にも通っている。「セッションしたい時はドラム」という。自由に心のままに演奏できるのが堪らないようだ。他にもギターやベースなど、お気に入りの楽器は様々だ。
 政美さんは「こだわりが凄すぎて」と苦笑い。「ちょっとでも間違えたら、何時間でもやり直している」。将来は1人バンドをやってみたい、と話しているとか。「本人が好きなことが職業になるなら幸せなことなので、応援していきたいですね」
 まだ10歳。これかどんどん成長し、どんな音楽を極めていくのか楽しみにしたい。

写真/ピアノ発表会で演奏する佐藤くん=今年1月5日、北とぴあで