足立朝日

ペットとの同行避難について

掲載:2006年2月20日号


 関東地方にマグニチュード7~8クラスの東京直下大地震が来ると何年も前から騒がれている昨今。現代は少子化が進み、犬や猫、ハムスターなどの動物を自分の子どものように愛でる人たちが増えている。
 「ペットと安心して避難するために…災害時の感染症・人獣共通感染症を含めて」(区獣医師会・区保健所・区災害対策課共催)と題して1月29日、区庁舎ホールで日本大学医学部臨床検査医学教室・医学博士・獣医師の荒島康友氏と、東京獣医科医院獣医師(扇三丁目)・羽原弦史氏が、防災講演会を開いた。
 共通感染症には「狂犬病」、インフルエンザの症状や肝障害が起こる「Q熱」、猫による引掻き傷、咬傷、接触によりリンパ節が腫れる「猫ひっかき病」、犬・猫の咬み、掻傷による皮膚の化膿、髄膜炎など多くの症例が存在する「パスツレラ病」、犬・猫の回虫、フィラリアによって感染する「幼虫移行症」など。ワクチンで予防できるものもあるが、日頃の動物との接し方に気を配らなければならないものもある。ノミやダニの外部寄生虫駆除も日頃から注意が必要。飼い主は動物の病気に対する知識が必要不可欠だ。
 災害時、区及び東京都獣医師会足立支部では動物愛護の精神と、人と動物の絆を守る意味からも「ペットとの同行避難が原則」としている。ペットとの同行避難場所は、都市農業公園と元渕江公園生物園の2カ所。
保護、負傷の治療や迷子の一時預かりもする。緊急時なので動物が迷子になる可能性も高い。犬の登録時に区から発行される鑑別を首輪につけておけば番号で飼い主を判別できるので安心だ。また、動物救護所や第一避難場所(各小・中学校、都立高校)には多くの人が集まるため、多種多様な動物が連れてこられる可能性がある。動物から人に病気を感染させないようにワクチンの接種は必須。
 また、動物が嫌いな人もいるので日頃からしつけは重要だ。鳴き声、臭い、汚れ、抜け毛、排泄など、しつけについては区獣医師会が犬のしつけ教室をしているのでそういった場で知識を深めたい。
 荒島先生は「『知るワクチン』と名づけましたが、伝染病を予防するには知識を持ち、感染症予防に適した環境を作り、実行すること」と話す。他にも、感染症の症例や症状、対処法などを細かく説明。来場者による質問コーナーも賑わった。羽原先生は「人間と動物の精神的な繋がりを大事にしたい。動物には人を癒す力があると統計にも出ている。飼い主はきちんと予防措置をし、トラブルが起こらないよう心がけて。動物嫌いの人もいるので迷惑をかけないように、しつけもしっかりして欲しい」と飼い主に注意を促した。


参加者からのたくさんの質問に
答える(左から)荒島氏、羽原氏