足立朝日

「芭蕉旅立ちの地」

掲載:2013年9月5日号
坂巻亨さん(67)=千住緑町3丁目在住

 ここは正に『全国区』。足立区民が、外国の客人を誇りを持って案内できる場所で、隅田川に架かる千住大橋のたもとにある区立「大橋公園」である。 
 江戸時代の俳聖・松尾芭蕉が、江戸・元禄2年(1689年)3月27日(新暦5月16日)に「千じゆと云所にて船をあがり」(原文のまま)、「おくのほそ道」の旅に出たのは有名。写真は、その地を示す石柱で、公園内には「おくのほそ道矢立初の碑」がある。矢立は、筆と墨を一緒に携帯するための文房具で、墨つぼに柄が付いていてその中の筒に筆を入れる。昔の文人墨客が好んで使っていた。
 碑石は、高さ1・5m、幅1・9m、厚さ0・9mの龍岩で、薄茶色の自然石に、黒御影石を表裏にはめこんだもの。表には「ほそ道」の抜粋、裏には解説文が刻まれている。なかなか味がある石碑。
 ほかに芭蕉の旅が一目瞭然でわかる「おくのほそ道工程図」は必見。
 河岸の階段を下りると、千住のまちづくりの会が区と共同して造成した旧船着場がある。芭蕉旅立ちの壁画が描かれていて癒される空間だ。午前9時~午後4時に開いているので、ぜひ。
【交通】「大橋公園」へは、京成「千住大橋駅」下車、徒歩5分。
【問合せ】足立区観光交流協会TEL3880・5853
(選者・学芸員 小林基治=日本写真会同人)