足立朝日

Vol.134渇いた太陽 浅丘ルリ子

掲載:2013年10月5日号
浅丘ルリ子×上川隆也 渾身の舞台

 銀幕の世界からテレビ界、そして舞台へと華麗にシフトし、豊かな才能と感性、さらに変わらぬ美貌で観客を魅了し続ける浅丘ルリ子。来年、女優生活60周年を迎える。その口からは、これまでの出演作や共演者名などが次々と飛び出し、記憶力の確かさに圧倒される。加えて、正直な生き方を貫く姿勢も変わらない。その例のひとつとして、自らの出演作の台本を吟味し、妥協することなく意見を述べる。浅丘の思いを汲んだ作品は、より深い内容となり、観客の心を打つ。そのようにして育まれた作品『渇いた太陽』(作=テネシー・ウィリアムズ、原題=『Sweet Bird of Youth』)が、この11月、シアター1010で上演される。演出は、あの深作健太。父・欣二の跡を継ぎ、映画監督・脚本家・演出家など幅広く活躍中の逸材。
 同作品では、失踪した大女優アレクサンドラ(浅丘)、共に逃避行に出るチャンス(上川隆也)を中心に、多彩な人物が交錯し、愛憎と刹那の人間模様が展開される。臨場感溢れる名場面をたっぷりと味わえる。
 共演者の上川について浅丘は、NHKドラマ『大地の子』(原作=山崎豊子)で中国残留孤児・陸一心を演じた姿を鮮明に記憶。この8月から上演されている上川主演の舞台『真田十勇士』に駆け付けた浅丘は、真田幸村として堂々たる殺陣を披露している上川を絶賛! 『渇いた太陽』での共演を楽しみにしている。どの作品に於いても、浅丘は共演者がリラックスできるように気遣う。「人生は人と共に楽しく」をモットーとする浅丘は、何よりも仲間とのコミュニケーションを大事に考え、本番前のひとときの会話や一杯のコーヒーに心を込めて周囲をもてなす。実は浅丘自身が人一倍緊張するタイプ。仲間との触れ合いを通じて、舞台へ立つ勇気を養っている。
 「『渇いた太陽』では、老いるとはどのようなことか、老いとどのように向き合うかを観客の皆様にも考えていただけたら」と浅丘。老いとは無縁の浅丘が挑戦する同作品に今、注目が集まる。
【日時】11月22日(金)14時、23日(土)12時・16時半、24日(日)13時。【料金】8500円、フレンズ会員・区民割引有。【チケット】TEL5244・1011