足立朝日

昭和の家で薩摩琵琶演奏 時を忘れる幽玄の響きにうっとり

掲載:2013年11月5日号
 足立区初の国の登録有形文化財に指定された平田邸、通称「昭和の家」(西保木間2‐5‐11)で、10月12日(土)、薩摩琵琶の演奏会が開かれた。
 昭和の家は平田茂さん(61)、宇理さん夫妻の自宅で、昨年から住居の一部を解放し地域との交流の場として活用。展示会や講演会など様々なイベントを行っている。
 今回出演したのは、古千谷在住の薩摩琵琶奏者・櫻井亜木子さん(36)。日本琵琶楽コンクール優勝など数々の賞を受賞し、国内のみならずアメリカでも公演を行っている。
 書院造りの広い和室で、櫻井さんは日本庭園を背に2曲を演奏。会津隊士たちの悲劇を語る「白虎隊」では、クライマックスに向けて激しく高まる唄と琵琶の音色に合わせたかのように風に散った木の葉が庭に舞い落ち、絶妙な演出となった。
 2曲目の「西郷隆盛」は櫻井さんの母・洋子さんが三味線で協演。珍しい2色の調べを響かせた。
 演奏を堪能した参加者たちは木のぬくもりの感じられる中廊下で、櫻井さんから提供された鹿児島のお茶とお菓子に舌鼓。庭に面した窓は、今は製造が不可能という木製の桟に手作りガラスが嵌められたもので、落ち着いた風情が、せわしない時間の流れを忘れさせるのに一役買っていた。
 次回はクリスマスイベントを企画。平田さんは「町おこしも兼ねているので、光の祭典も見に行って」と話す。
【メモ=平田邸】
 昭和14年、金属加工業を営んでいた先々代・平田源七氏が建てた洋館付き和風住宅。洋館の応接間、格天井の玄関などがあり、随所に職人の手仕事による細やかな細工が施されている。平田さんが仲間と結成した「つもろう会」が、年に4~5回イベントを開催。
◆次回イベント《昭和の家で愉しむ 宮沢賢治 セロ弾きのゴーシュ》
【日時】12月8日(日)午後3時半~午後5時半(3時開演)
【出演】朗読&KO―DAN=ふたばこ、チェロ=井上貴信
【料金】2500円(ケーキ・飲み物付)
【予約・問合せ】TEL090・8102・0011、平田

写真/薩摩琵琶を説明する櫻井さん=平田邸で