足立朝日

Vol.135梅沢富美男劇団「千住凱旋公演」

掲載:2013年11月5日号
夢芝居を原点の千住で

 華麗な夢芝居で観客を魅了する梅沢富美男劇団が、「千住凱旋公演」と銘打って、来春シアター1010に登場。「足立区は以前住んでいたこともあり、また売れる前からごひいきにしてくださったお客様も多く、大きな劇場に出るようになってからも『原点』という題名で、昔のように日替わりでお芝居をやったり、落ち着く所。シアター1010に帰ってくると何だかほっとします」と富美男。
 その富美男を常に支えるのは、何よりも大切な家族。「役者にしては生真面目な父、普通のうちの母としては失格かもしれないけれど、役者の母ちゃんとしては100点満点だった母。役者として僕の百科事典のような両親に一番の親孝行は何かと考えた時に、おいしいものを食べさせることでも旅行に連れていくことでもなく、二人が守り通した梅沢劇団を存続させることだと思い、役者を続けてきました。僕の女形をプロデュースしたのは兄の梅沢武生ですし、着付けは妹。息の合った共演者は兄弟たちです。両親、兄弟があるからこそ今の僕がいるといっても過言ではありません」
 富美男の敬愛する母親は、青森県藤崎町の出身。その地での公演を果たし、藤崎のりんご大使や深浦町観光特使に任命され、青森県と深まる縁を喜ぶ。
 男気のある富美男が女形に変身するプロセスは、誰もが興味あるところ。「化粧して着物を着てかつらをかぶっても、まだ60過ぎのオジサンのままです。僕が女形になるのは舞台袖から舞台に出た瞬間。踊りを踊っている3分間のみ。その間も女性として綺麗に見える仕草は常に意識していますが、気持ちの中では自分が世界一いい男だと思って踊っています。それも兄・梅沢武生の『歌舞伎の女形さんは常に立ち役の影に立って一歩引いている。それは歌舞伎ならではの美学。うちのお客さんはお前を見に来ているのだから、どんどん俺の前に出なさい』というアドバイスからです。今回はゲストに竜小太郎さん、 門戸竜二さんという芸達者な方々をお迎えし、日替わり狂言をもちまして皆様のご機嫌をうかがいます。劇場にお運びいただければ、この上ない喜びでございます」
【日時】1月27日(月)~2月2日(日)11時・16時【料金】6000円、フレンズ・足立区民4800円、65歳以上2000円【チケット】TEL5244・1011