足立朝日

59.「辰沼稲荷神社」 辰沼2‐15‐30

掲載:2013年12月5日号
 花畑川に架かる雪見橋のそばにある「辰沼稲荷神社」は、毎年4月8日に「梵天まつり」が行われる地域信仰の厚い神社だ。
 祭神は、蒼稲魂命。詳しい創建は不明だが、江戸時代後期には辰沼新田の鎮守であったと言われている。
 同社には次のような話が伝わっている。隣村の久左衛門新田の鎮守神明社(後の天祖神社)の稲荷社が、ある時、洪水で押し流されてしまった。村人たちが、水が引いた後に探し歩くと辰沼に流れ着いていたのを発見。みんなは「稲荷神が選んだのがこの地だろう」と、今の地に辰沼稲荷社を建てた。
 同社で毎年4月に行われている「梵天まつり」は、江戸時代の頃から始まった五穀豊穣、厄払いのお祭り。梵天とは、赤・緑・黄・白・紫など5色の色紙で幣束(神様へ供える紙の飾り)を作り竹の串につけたもの。さらにこれを梵天棹と呼ばれる大ぶりな竹竿の柱に菰(ワラなどで織った敷物)を巻いたものに挿して神事が行われる。
 その他、境内には元禄12年(1699)に建てられた三猿と邪鬼を踏みつけた青面金剛像が刻まれた庚申塔や、足立区の保存樹に指定されたイチョウやムク、ケヤキがある。
【交通】「綾瀬駅」からコミュニティバスはるかぜ「八潮駅南口」行きで「雪見橋南詰」下車、徒歩約2分