足立朝日

日本舞踊家・花柳珠絃さん 文化庁芸術祭賞で優秀賞

掲載:2014年2月5日号
 扇在住の日本舞踊家、花柳珠絃(本名=吉川薫子)さんが、第68回文化庁芸術祭賞で舞踊部門の優秀賞を受賞した。
 静岡県在住の泉裕紀さんと共宰する「たまゆうの會」での長唄「喜撰」と「阿吽」が評価されたもの。
 「たまゆう」は2年前から始めた国立小劇場での2人のリサイタルで、昨年11月、これまでの数々の受賞が認められて芸術祭に参加した。「栄誉ある賞をいただいた。国からいただいて、記念すべき舞台になった」と花柳さん。
 「喜撰」は清元(浄瑠璃の一種)で踊る古典の名作を長唄に置き換えて、全曲振り付けをし直したことが評価。「阿吽」とは、寺の山門の両側に立つ仁王像のこと。その一対の像の由来と、願掛けに来た庶民の人間模様を踊る作品で、日本舞踊では滅多に使わない回り舞台を取り入れ、稲光の照明を効果的に使うなど、スペクタクルな演出と構成が評価された。
 2人が振り付け、高校・大学生の弟子たちによる活力溢れる群舞「源」も披露した。受賞対象外だったが、「すごく良かった。あれも評価されたと思う」。弟子たちの個性を最大限に生かせる踊りを常に考え、一つ一つの稽古を大事にしてきたという。
 「基本を大事にお稽古して、本当に地道に毎年毎年、いろいろなものを作っている。きちっとしたものを伝えていきたい、きちっとしたものを教えればこんなにちゃんと踊れるんだというのが、こうして賞に繋がった。それがうれしい」
 教室に通うのは下は小学1年から上は80代までで、珍しく男子も多い。日本舞踊に親しもうと、大人と子どもが参加する「ザ・伝統」の発表会では、古典だけでなく、南こうせつやサザンの曲も。「伝統と革新の両輪で、新しい風を入れて日本舞踊を普及していきたい」と話す。

写真上/「阿吽」で阿形を舞う花柳さん=国立劇場で
下/花柳珠絃