足立朝日

この本

掲載:2014年2月5日号
◆『秀吉ではなく家康を「天下人」にした黒田官兵衛~「天才軍師」と呼ばれる男の虚と実~』 跡部蛮著 双葉新書 838円+税
 黒田官兵衛が「謎の武将」だといったら、驚かれるだろうか――こんな一文から本書は始まる。
 官兵衛といえば、豊臣秀吉を天下人にした軍師として知られる、今年の大河ドラマの主役。それを、「軍師という言葉自体、当時は存在しなかった」と、のっけから読者に挑戦状を突きつけてみせる。
 現代に伝わる戦国時代の歴史は、江戸時代に書かれた書物を元にしているものが多い。脚色されていることもあり、全てが真実とは限らないという。
 足立区在住の歴史ジャーナリストである著者が、様々な資料の矛盾点を鋭く突き、隠された真実に迫る。天才といわしめる数々の逸話の信憑性に切り込み、新たな官兵衛像を描き出していく。
 読後には、官兵衛のイメージが変わってしまうかもしれないが、それも歴史の醍醐味か。著者の説を元に、自分なりに想像してみるのも面白い。★この本を1名にプレゼント。詳細は4面プレゼント欄参照。