足立朝日

災害時の犯罪や諸問題をどう防ぐか 女性限定のシンポジウム開催

掲載:2014年3月5日号
 東日本大震災から、まもなく3年。防災を新たな角度から考えようと、女性限定のシンポジウム「女性たちの災害―その時、何が起こっていたのか―」が、2月22日(土)、学びピアで開かれた。
 主催は震災直後から様々な形のボランティア活動を継続しているNPO法人「地域の芽生え21」(桑原里保理事長)=足立4丁目。同NPOの被災地ボランティア・バスツアー参加者の有志による災害ボランティア「チームひまわり」が協働し、手作りで企画した。
 被災地では女性ならではの様々な問題がある。電気が来ない暗闇は、予想以上に恐怖心を感じると同時に、犯罪も誘発する。皆川さよみ実行委員長は、草むらに潜んで子どもや女性に悪さをする事件があったことを、現地の人から聴取。60代の女性が被害に遭った例もあるという。
 「解決策はないが、予防策を練ることはできる。想像していなかったら予防策を考えられない。自分の環境に当てはめてみて、皆さんで話し合って欲しい」と呼びかけた。
 宮城県石巻北上地区「復興応援隊」の佐藤尚美さん、宮城県岩沼市「エフエムいわぬま」パーソナリティの竹内ゆみさんが特別ゲストとして講演。
 「自分の身を守るのは自分しかいない」と話したのは、ご主人を亡くした佐藤さん。性別によって役割分担された避難所生活の中で、会社に戻らなければならない難しさを経験。「女性の方が現実的で環境の変化に強い」と、女性による避難所のルール作りの利点を説いた。
 竹内さんは、震災直後からラジオで情報を流し続けた経験から、「小さな細かい情報を流せるのがコミュニティFMの良さ」とし、余震続きで不安な中、ラジオの声や音楽で癒されたというリスナーの声があったことを紹介。また、「とっさの判断力、直感を大切に」と教訓を伝えた。
 座談会では社会福祉協議会の黒川綾子さんの進行で、参加者の質問に答える形で、様々なアドバイスがされた。また、東北の物産販売もあり、都立第五商業高校(国立市)ボランティア部の生徒が運営に協力した。
〈震災に備えてのアドバイス〉
・家族と仕事先の正式名称や連絡先を確認
・津波について家族と話しておく
・常に「今ここで地震が起きたらどうするか」をシュミレーションしておく
・備蓄=ラップ(皿に使うなど役立つ)、フルーツの缶詰(ビタミンが不足する)、カセットコンロ(必需品)
《防災ハンドブック 女性編》
 女性ならではの避難所での苦労や注意すべき点が、実体験に基づいた漫画で描かれている。ぜひ、男性もご一読を。企画・発行=地域の芽生え21、編集・協力=宮城県石巻市北上町「復興応援隊」、支援金=1冊50円(頒布価格)。
【問合せ】TEL080・4582・1660 NPO地域の芽生え21

写真/左から黒川さん、皆川さん、竹内さん、佐藤さん=学びピアで