足立朝日

60.「下谷中稲荷神社」 谷中1‐12‐8

掲載:2014年3月5日号
 しょうぶ沼公園そばにある「下谷中稲荷神社」は、住宅街に囲まれた小さな神社だ。かつてこの地を下谷中といっていたため、通称「下谷中さま」と呼ばれ親しまれてきた。
 祭神は、宇迦之御魂命。詳しい創建は不明。境内敷地面積は約131坪で、社殿、社務所、薬師堂、ほかにもう一つお堂がある。現在の参道は区画整理のため東から入るL字型になっているが、以前は本殿のある北に向かって一直線だった。小さい村であったため神輿はなく、祭りも氏子総代・役員らが集まり、神職を招いて神事を行うだけである。
 境内にある薬師堂と小堂は、この地を開発した吉野家の私有墓地にあったものを、区画整理後に新築移転した。本尊は薬師三尊像。薬師堂は、信仰の場であるとともに村人の寄り合いの場でもあったため、この場所で田畑の耕作や村の行事などの話し合いも行われてきた。薬師堂の隣にある小堂には鬼子母神像および狐像と、その背中に乗せられていたと思われる烏天狗像がそれぞれ厨子に納められている。
 そのほか、境内の入口に庚申塔と参拝記念碑が並んでいて、その隣に大きな土地区画整理事業完了の記念碑が建っている。また、社殿の裏には足立区の保存樹に指定されているケヤキがあり、同社の西側には滝の流れる用水路が流れていたりと、癒しの散歩スポットとしてもオススメの神社だ。
【交通】「北綾瀬駅」下車、徒歩約5分

写真上/