足立朝日

あの切り絵の丸山さんが 「家庭画報」に年間連載!

掲載:2014年4月5日号
 切り絵作家・丸山英雄さん(60)の作品が、婦人誌・生活雑誌の代表として約半世紀の歴史を刻む「家庭画報」(世界文化社)のご指名で、この1月号から毎月誌面の一隅を飾り話題になっている。
 これは、「遊びの記憶」というコーナーで、作家の金井美恵子さんの一文に沿った形で丸山さんの切り絵が添えられている。1月号は、金井さんが「雪うさぎ」というテーマで、子どもの頃作った小さな雪うさぎの思い出を「あわ雪のよう」と繊細な文章で書いているのに対し、丸山さんの切り絵は、ここに題は書かれてはいないものの「冬麗」という新作が添えられた。切り妻造りの民家の屋根に積もった雪を、バックの木々の雪模様が際立たせているという力作。
 写真の丸山さんが手に持つ4月号は、「旧作の中で一番気に入っている」と自ら言う「花筏」。5年前に創作した同作品は、水に浮かぶ桜の花びらの数が半端でなく、しかも2匹の錦鯉がその花びらの下を泳ぐという構図がえもいわれぬ美しさとたおやかさを醸し出していて、発表当時の会場が絶賛の嵐となった一作。
 この仕事を受けた昨秋は、丸山さんにとって、周囲の環境と体調が最悪だったという。10月に義理の父が亡くなり、通夜、告別式を喪主の義兄として取り仕切った。その月の末、激しい眩暈がして天井が回り、倒れた。病院での検査に次ぐ検査で脳腫瘍が見つかり、12月末に手術。「そんな時でした、世界文化社の若い女性記者から電話が入ったのは。体調は最悪だったけど、『こんなチャンスはめったに来ない』と言い聞かせて受けました」と丸山さん。女性記者は、「このコーナーの文に添えるのは、挿絵ではなく切り絵だ」と決め、インターネットで丸山さんの切り絵を探し出し「これだ!」と歓声を上げたと言う。
 精密な下絵を描き、黒い和紙に両面テープで貼って一片一片切り抜いていくという気が遠くなるような丸山さん独特の切り絵の世界。「37年育てた『自分の切り絵』を広めるためにも、もっと有名になりたい。後継者を見つけたいんです。それが願いです」と言う。
 5月1日発売の6月号では、美人画(旧作)を掲載し、編集者に頼んでプレゼント欄への掲載もしてもらう予定だ。
【メモ】丸山さんは、足立区では、毎月第二土曜日の午前と午後、千住旭町の「文具のトラヤ」で「切り絵教室」を開催している。見学自由。問合せ・申込みは、HPから。HP

写真上/1月号「ゆきうさぎ」に添えられた丸山さんの切り絵「冬麗」
下/家庭画報4月号掲載の「花筏」を手にする丸山さん=竹の塚で