足立朝日

美を見る心と目を養う 六町ミュージアムフローラ 日本画家 西田俊英氏が講演

掲載:2014年5月5日号
 六町ミュージアムフローラ(白谷武一館長)で春の特別講演として、日本画家の西田俊英氏が「日本画の現場から」をテーマに講演した。
 西田氏は奥村土牛(1889~1990)、塩出英雄(1912~2001)に師事。花鳥画、風景画、人物画など幅広いジャンルを手がけ、院展での大賞をはじめ数々の賞を受賞。現在、日本美術院同人、評議員、武蔵野美術大学日本画科教授、広島市立大学名誉教授を務めている。
 同館には、青を背景に幻想的に浮かび上がるネギを描いた学生時代の作品「月光」と、再興第94回院展(平成21年)に出品した大作「宵桜千鳥ヶ淵」が所蔵されている。
 六町ミュージアムは白谷建設社長の白谷館長が、趣味で長年集めた絵画を地域に公開し、子どもたちにも芸術を学ぶ場として利用してもらいたいと2年前に開設したもの。白谷館長が「宵桜千鳥ヶ淵」に惚れ込んで購入を申し入れたところ、まだ開設前の同館の構想に感銘を受けた西田氏が売却を快諾。以来の縁で講演が実現した。
 西田氏は自らの画業を「我が子を苦労して育てるように描く。どんなに急かされても、納得いくまで世に出せない」と説明。見事な夜桜を描いた「宵桜千鳥ヶ淵」は、平安時代の歌人・西行の思いを空間に込めたことなど、絵の裏にある画家の深い思いを明かした。
 岩絵具(鉱物を砕いて作る顔料)を使う日本画ならではの特徴や描き方なども語られ、定員を超えて集まった50人は、熱心に聞き入っていた。
 絵画の見方が深まり満足そうな聴衆に、白谷館長は「少しずつでも絵について知ってもらって、好きになってもらえれば」と笑顔。「同館を学校の教育にも利用してもらいたい」と語った。
【メモ】六町ミュージアムフローラ=六町2‐5‐35(つくばエクスプレス「六町駅」A1出口徒歩3分)、TEL3885・7333、午前11時~午後5時(入館は4時半まで)、日・月曜休館。

写真上/同館所蔵、自作の「宵桜千鳥ヶ淵」について語る西田氏=六町ミュージアムフローラで
下/六町ミュージアムフローラで