足立朝日

2人が東大合格 足立学園 進化続ける理由を校長に聞く

掲載:2014年6月5日号
 5月5日号に掲載した足立学園の大学進学の記事に、予想以上の反響があった。
 一時期の低いイメージが定着しているせいか、「そんなに優秀だとは知らなかった」という驚きがほとんど。特に東大に現役で2人合格したことは衝撃的だったようだ。
 同校の大学合格者数は平成17年度は477人、21年度は738人、今年度は884人(現役690)と右肩上がり。国立、有名大学も多い。
 学力が伸びた理由があるはず。そこで、寺内幹雄校長に話を聞いた。
「30年前からの取り組みの積み重ね。当時の校長が、文理併せて有名大学合格を目指したいと都の認可を受けた。理数ができると文系も強くなる」
 クラスも特別クラスや選抜コースなど細かく分け、学力に応じていつでも移動できる仕組みだ。かといって、進学塾の専門家を招いて授業をしているのではない。「今年、東大理Ⅰに合格した生徒は塾にも予備校にも行ったことがない。磨けば光るダイヤがいるんだよ、と」
 「先生たちは早朝と放課後の講習をしてくれて、受験指導の研修会にもよく行って勉強している。二者面談も年4回。指導の効果が高いのは、生徒と先生の距離が近いせいもあるんじゃないかな」
 「毎週月曜に先週の家庭での勉強を自己申告させている。少ないからと叱るのはご法度。大事なのは学校全体として勉強するムードをどう作っていくか。テスト前の1週間は部活が休みで、自習室の他に食堂を開放する。400人ぐらいが学校に残って勉強している」
 中学から入るメリットも。「男子は遅咲きの子がいる。中学受験では芽が出なくても、化ける子もいる。それを発掘していく」
 運動部の活躍も目覚しい。文武両道はどう実現しているのだろうか。「練習をやりすぎると疲労が残る。朝門が開くのは7時、放課後も部活は7時までで8時に門を閉める。時間を決めているから中身が濃い。週1回休みなさい、と」
 今、目指しているのは、①現役合格率90%(今までは82%)②平均的な学力を持てたらGMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)に受かる③毎年東大に合格する、の3つだが、受験一辺倒にはしない。
 「進学は教育内容の一部でしかない。お子さんがどういう風に育っていくか、どういう思い出が作れるか。一生涯付き合える友だちを作って欲しいから、行事もたくさん。体育祭で一番張り切るのは選抜クラス。いじめもほとんどない。今までは強くたくましい男子が目標だったが、品格のある思いやりのある人になって欲しい」
 足立学園の生徒たちは素直で素朴。伸びる理由の一つかもしれない。