『百物語』22年の歴史ファイナル
その妖艶な姿と語り口で、観客を物語の世界へ引き込んできた白石加代子が、『百物語』シリーズのファイナルをシアター1010で迎える。白石は忘れられない思い出を語る。
「当初は5年くらいで九十九話できるかなと思っていたのですが、なんと22年もかかってしまいました。思い出すのは、岩波ホールの当時総支配人だった高野悦子さんに『百物語』の企画を初めてお持ちした時のこと。『舞台の上は裸電球ひとつ。白石加代子が怖い話を九十九話朗読する』というイメージを伝えると、高野さんは『岩波ホールは映画館ですから、映画以外はやらないんです。設備の面でも客席数でも条件に合わないでしょう』。その言葉で岩波ホールでの上演を諦めかけた時、高野さんは何かを決意したように顔をお上げになって、『わかりました。あなたの為ならお貸ししましょう』と静かにおっしゃったのです。『ただし、ハードルを下げないでください。片手間になるような感じにしないでほしいんです』――正直、心の中をのぞかれたような思いでした」
今回の2作品は、まさしくファイナルを飾るに相応しい。「三島由紀夫の『橋づくし』は願掛けのお話で、妙な女性が一人登場。その人が物語の鍵を握っているところが面白いんですね。『天守物語』は、とにかく豊潤な素晴らしい言葉に溢れています。読むだけで充分にイメージが広がっていく。泉鏡花の言葉には魔力があると思います。私はその言葉に身を委ねるだけでいいと思っています」と白石は作品の魅力を語る。
ファイナル公演を迎えるにあたり、観客や仲間への思いは深い。「鴨下信一さんの丁寧な演出により、思いがけない地点にたどり着くことが今までに何度もあり、自分でも知らなかった新しい扉が次々と開かれるような感覚を覚えます。プロデューサーの笹部博司さんは『百物語』を提案し、私を見守り続けてくださった方。長きにわたり、お付き合いくださったお客様やスタッフの皆様への感謝は、言葉では言い尽くせません」
「百話を語ると魔物が出る」と言われるが、白石の迫力ある語りに釣られて、九十九話で魔物が出現するかもしれない。
【日時】8月29日(金)18時半、30日(土)15時【料金】5000円、フレンズ割引あり【チケット】TEL5244・1011。
その妖艶な姿と語り口で、観客を物語の世界へ引き込んできた白石加代子が、『百物語』シリーズのファイナルをシアター1010で迎える。白石は忘れられない思い出を語る。
「当初は5年くらいで九十九話できるかなと思っていたのですが、なんと22年もかかってしまいました。思い出すのは、岩波ホールの当時総支配人だった高野悦子さんに『百物語』の企画を初めてお持ちした時のこと。『舞台の上は裸電球ひとつ。白石加代子が怖い話を九十九話朗読する』というイメージを伝えると、高野さんは『岩波ホールは映画館ですから、映画以外はやらないんです。設備の面でも客席数でも条件に合わないでしょう』。その言葉で岩波ホールでの上演を諦めかけた時、高野さんは何かを決意したように顔をお上げになって、『わかりました。あなたの為ならお貸ししましょう』と静かにおっしゃったのです。『ただし、ハードルを下げないでください。片手間になるような感じにしないでほしいんです』――正直、心の中をのぞかれたような思いでした」
今回の2作品は、まさしくファイナルを飾るに相応しい。「三島由紀夫の『橋づくし』は願掛けのお話で、妙な女性が一人登場。その人が物語の鍵を握っているところが面白いんですね。『天守物語』は、とにかく豊潤な素晴らしい言葉に溢れています。読むだけで充分にイメージが広がっていく。泉鏡花の言葉には魔力があると思います。私はその言葉に身を委ねるだけでいいと思っています」と白石は作品の魅力を語る。
ファイナル公演を迎えるにあたり、観客や仲間への思いは深い。「鴨下信一さんの丁寧な演出により、思いがけない地点にたどり着くことが今までに何度もあり、自分でも知らなかった新しい扉が次々と開かれるような感覚を覚えます。プロデューサーの笹部博司さんは『百物語』を提案し、私を見守り続けてくださった方。長きにわたり、お付き合いくださったお客様やスタッフの皆様への感謝は、言葉では言い尽くせません」
「百話を語ると魔物が出る」と言われるが、白石の迫力ある語りに釣られて、九十九話で魔物が出現するかもしれない。
【日時】8月29日(金)18時半、30日(土)15時【料金】5000円、フレンズ割引あり【チケット】TEL5244・1011。