足立朝日

加平1丁目の小林一郎さん 「横丁と路地を歩く」(柏書房)を出版

掲載:2014年7月5日号
 一昨年秋に「『ガード下』の誕生―鉄道と都市の近代史」(祥伝社新書、780円+税)を出版した加平1丁目在住の小林一郎さん(62)=㈲秋耕社(文京区本郷)社長=が、今度は柏書房から「横丁と路地を歩く」(2000円+税)を出した。「ガード下…」の続編ともいうべきもので、「横丁を発見して路地を楽しむ」と題し、地元・北千住を始め、都内各地の横丁と路地、発祥の地・京都、大阪、名古屋のそれを歩いて『検証』した293頁の力作だ。
 小林さんが「京都のマネをした」という江戸の町割りは、基本120m角で作られているそうだ。1603年に江戸幕府を作った家康は、「軍事都市・江戸」を作るために、この基本形をくっつけていき、境の道路はまっすぐに走らせ、川にぶつかって終わる、というまちづくりを進めた。そのまちを語る時、表通りと裏通りを結ぶのが「横丁」で、まちの奥深く入る通路を「路地」と呼ぶ、これが正しい学問的な呼称だそうだ。
 本書ではこの「横丁」と「路地」の誕生を、江戸時代の江戸、尾張、京都、大坂の町割りまでたどり、その誕生を解き明かすとともに、それがなぜ人々を魅了するのかを探っていく。同時に、全国の現代の横丁と路地を訪ね、それらの魅力を紹介をするという楽しいまち歩きの本に構成した。「迷宮のまちと飲み屋横丁」というタイトルで書かれた北千住は、何と13頁に及ぶ。何が書かれているかは読んでのお楽しみ。小林さんは、「人間的なものがあふれる街を作り上げるためにも、横丁や路地を残す運動を続けたい」と話している。
 2年前に「横丁・小径学会」を結成し、現在代表。同学会には、茨城・水戸から通う男性や主婦、静岡の元大学教授など18人が参加、隔月で東京の横丁、路地を中心に「歩く会」を実施している。
★この本は、北千住マルイ店8階紀伊国屋、ルミネ北千住店8階ブックファーストに置かれている。柏書房(営業)はTEL3830・1891。

写真/著書を手に「千住の横丁、路地が一番面白い」と語る小林さん=北千住のミリオン通りで