足立朝日

五大学学長会議 地域との連携を語り合う

掲載:2014年8月5日号
 第6回五大学学長会議が7月7日(月)、東京藝術大学千住キャンパスで開かれた。
 千住にある5つの大学の学長と区長をはじめとする区の代表者が、年1回一堂に会し、意見交換を行うもの。オープニングではこの日のために作曲された「五大学学長会議のためのファンファーレ」と「たなばたさま」を卒業生らが演奏、藝大ならでは演出となった。
 今年のテーマは「大学と地域の連携」。まずは近藤やよい区長が「足立区の課題克服に向けて」と題してスピーチした。
 最近は北千住が住みたい街としてメディアに取り上げられるなど、一定の評価が得られたと判断。「大学ができる以前は、乗り換えだけの駅だった。今はまちの中にお客さんが回遊している。多くの若者による効果だと思う」と区長。足立区は年少人口の急激な減少により、生産年齢人口が23区内最下位。大学の存在を含め他区との差別化により足立区の魅力を発信する展望などを述べた。
 また、ディスカッションでは「高齢化を見据えて、生涯学習に力を入れていきたい」と、大学に更なる連携を呼びかけた。
〈東京藝術大学・宮田亮平学長〉
 東和に4月に学生寮・藝心寮を開設。「ここを故郷にするんだという意識は教育の原点。通うのではなく住むことで成立する」
 区との連携事業は、音をテーマにした町中アートイベント(アートアクセスあだち・音まち千住の縁)、福祉と子育て支援事業、芸術によるまちづくり事業(講座)、区内の小中学校に出前授業・演奏で述べ1万人の子どもに音楽教育支援活動を実施。
〈放送大学・岡部洋一学長〉
 学生の平均年齢は45歳で、最高齢は95歳。高学歴の人が多く、50%が修士を持っている。潜在的な力の活用が可能であるとし、「活躍したい人は多いが個別に動いている人が多い。提案をもらえれば動ける人がいる」と区にマッチングを提案。
〈東京未来大学・大坊郁夫学長〉
 保育士や心理の専門家がいる特色を挙げ、「心の問題はいろいろな場面でニーズがある」。実習やインターンシップなど学外の授業に力を入れている。
 地域との連携は講師の派遣、保育ボランティアによるイベント協力、ギャラクシティ、学習センターなどへの協力、美化活動など。学生団体の自発的な活動による地域連携が進んでいる。
〈帝京科学大学・冲永莊八学長〉
「生涯学習には、地域全体の文京意識が高まることが必要」。ふれあい動物教室(小学校への出前)、山梨県の上野原キャンパスへの大学遠足(野外観察など)、夢の体験教室(千住キャンパスでの講座)、体験!一日大学生(中学生が大学で受講)など、区内の子ども対象の学習イベントを実施。
 来年4月に現校舎のある隅田川沿いのやや下流に、新校舎「東京・千住キャンパス」が完成する。
〈東京電機大学・古田勝久学長〉
 学生5900人中、区内在住799人(内下宿636人)であり、「3年目を迎え着実に地域に馴染んでいると実感」。
 産学連携は創業支援施設「かけはし」の運営、足立成和信金との連携協定、施設開放、公開講座、大学内図書館の区民利用(今年度は33人登録)、小中高校への出前授業、小学校の先生への物理実験教室、地域清掃など。

写真上/左から冲永学長、古田学長、宮田学長、区長、岡部学長、大坊学長=東京藝大千住キャンパスで
下/オープニングで藝大卒業生が演奏を披露