足立朝日

「琴の音響く一茶まつり」

掲載:2014年11月5日号
撮影/山口隆大さん(73)
=島根1丁目在住


 「やせ蛙負けるな一茶これにあり」――。1763年(江戸・宝暦)生まれの一茶は、3歳の時に生母を失い、8歳で継母を迎えるなど恵まれぬ幼少期を過ごした家庭環境からその句は自虐的なものが目立つ一方、動物や子どもを素朴な言葉でやさしく詠んだ句が多い。
 「やせ蛙……」は、「一茶句集」の前書きに「武蔵の国、竹の塚というに蛙たたかいありけるに見にまかる、四月二十日なりけり」とあるということで、炎天寺で詠んだものだとされている。一茶は、この炎天寺がよほど気に入ったらしく、ほかにも「蝉鳴くや六月村の炎天寺」という俳句も詠んでいる。
 今回の写真は、山口さんが2年前の11月に炎天寺恒例の「一茶まつり」(4、5面参照)を訪れた時に撮ったもの。勤めていた会社の先輩が同寺の檀家で、「近いんだから行って来いよ」と勧められたそうだ。「久しぶりの琴の音にうっとりしました」と山口さん。
【交通】竹ノ塚駅東口下車、徒歩10分【問合せ】TEL3883・0787炎天寺
(選者・学芸員 小林基治=日本写真会同人)