足立朝日

「千住に閻魔大王あり 」

掲載:2015年1月5日号
撮影/小林基治さん(75)=千住中居町在住、学芸員・日本写真会同人

 ワシは、地獄にいる閻魔大王。しかも、地獄の入口まで堕ちて来た人間どもの、生前の行い、罪の軽重をきっちり判定して「地獄の責め」を決めるのがワシの役目。ワシほど恐い大王はいないはずじゃ。最近はやりの「○○大魔王」なんていうのはちっとも恐くないぞ。
 ワシがいるのは、千住2丁目、本町センター通り(旧日光街道)から少し入った所にある勝專寺というお寺。1260年草創の浄土宗の古刹で、山門が朱塗りのため、通称「赤門寺」と呼ばれている。
 山門左横の建物が、ワシがいるえんま堂だ。ほの暗い堂内じゃが、目をこらしてみよ。赤顔赤服のワシが座っている。区の役人もワシが恐いらしく、黙って登録文化財にしてくれた。
 正月(と7月)の15日、16日、閻魔堂は開帳される。ワシに挨拶に来た人間はエライぞ。「閻魔帳」に書いておくから、万一地獄に堕ちて来ても罪を軽くして上げるからね。そこんとこ、ヨロシク。
【交通】北千住駅西口から徒歩6分