足立朝日

必見！ スペシャル披露口上

　毎回大盛況の千住落語会であるが、この４月の舞台は特にすごい！　「十一代 桂文治 三○周年・夢吉改メ 二代 三笑亭夢丸 真打昇進襲名披露」公演と題して、桂歌丸師匠を特別ゲストに、３人による披露口上で幕が開く。ファンには、鳥肌が立つほどうれしい瞬間だろう。
　東西「桂」宗家・大名跡を継いだ文治さんが落語に興味を持ったのは、子ども時代に見た人形劇の「西遊記」。声の出演が、歌丸・小圓遊師匠で、初めて落語家という職業があることを知ったという。その後の文治さんの落語への傾倒ぶりはすさまじい。小学校の謝恩会では早くも落語を披露し、中学生になると敬老会から依頼が入る腕前に。このころ師匠に入門志願をしたが、「高校を出たらおいで」。高校時代には、長期休暇のたびに一人で大分から上京し、師匠のもとで研鑽を積んだ。アルバイトや一般の仕事はやった経験がなく、ただひたすら落語一筋の人生を歩んできた稀有な逸材だ。
　今回、ゲスト出演する歌丸師匠について、文治さんは「落語協会の会長でありながら、常に勉強を欠かさない姿勢がすごい！」と慕い崇める。競演相手の夢吉さんについて、「いつも落語のことを考えていて、これからの落語界を背負っていく人材。真打昇進後はライバルとなるので、私も負けてはいられない」と称賛し、思いを新たにする。
　対する夢吉さんは、４月26日（日）に行われる真打昇進襲名披露パーティー後、５月１日（金）に興行を始めるまでの初の高座が今回の舞台。「幸先のいいこの舞台で、歌丸師匠、文治師匠とご一緒できることが何よりもうれしい」と笑顔。落語家を夢見て、高校の卒業式にも出ずに、新潟から米袋を担いで初代に破天荒な入門を果たしてから13年。病床の師匠への恩返しとして、期待を担って夢丸を継ぐが、それを誰よりも喜んだのは師匠であったという。「今回の最初の口上から、尊敬する歌丸師匠が隣にいてくださるのはすごいこと！　文治師匠は、『落語が好き！』という軸が絶対にぶれない。私の憧れの人」と声を弾ませる。春一番の笑いをお見逃しなく！
【日時】４月29日（水・祝）15時
【料金】３５００円、足立区民割引（在住・在勤）３０００円、フレンズ会員割引あり
【場所】シアター1010　足立区千住３丁目９２
【チケット】TEL５２４４・１０１１。


写真上／桂文治
下／三笑亭夢吉