足立朝日

青井の憩いの場にカフェ&ベーカリー 「コワン・ド・あおい」 高次脳機能障害就労支援施設

掲載:2015年4月5日号
 TX青井駅の近くに憩いの場、カフェ&ベーカリー「コワン・ド・あおい」が、3月30日(月)に誕生した。
 近隣に喫茶店がない地域の人たちにとって、ちょっと集まっておしゃべりしたり、ひと休みする場として大いに活躍しそうだ。
 運営するのは、NPO法人足立さくら会(渕脇美佐子理事長)。念願の高次脳機能障害就労支援施設として、昨年から開設準備を進めてきた。
 同会は高次脳機能障害者の認知度が低かった14年前、家族会として発足し、平成20年にNPO法人化。その後、都内初のデイサービス施設・地域活動支援センター「ピアさくら」(一ツ家3‐2‐16)を設置し、施設利用者がスズラン製菓(舎人)のマドレーヌを販売するなど、障害の当事者や家族の社会復帰をサポートしてきた。
 利用者の働きたい、人の役に立ちたい、との思いを実現できる場を模索する中、この地域のカフェの必要性を実感。昨年末、都の先駆的事業助成金決定を受けて、オープンにこぎつけた。
 高次脳機能障害は個人ごとに症状が全く違い、支援が難しい。周囲に理解されにくい上、本人にも自覚がないため、苦しんでいる家族が多い。同障害に特化した地域貢献の場
は都内初で、新たな可能性への大きな一歩となる。
 「働くことが学べたり、身について、本当の就労に繋がっていけば」と渕脇理事長。一方で「障害者が働いている障害者のための店ではない」とも。「働く場であり、地域の憩いの場。ここができてよかったな、と思えるホッとできる場所にしていきたい」と話す。
 3月29日(日)には開所式が開かれ、招待された関係者や地元町会代表らが、焼き立てのパンとコーヒーを試食。「おいしい」と笑顔の祝福が溢れた。
◆カフェ&ベーカリー「コワン・ド・あおい」
 焼きたてパンはクロワッサン、デニッシュなど(120円~)、挽きたてコーヒー(300円)。店内は完全バリアフリー。テーブル・カウンター計20席。営業は平日のみ、午前11時半~午後3時。青井3‐8‐31 1階(TX「青井駅」徒歩3分)、TEL5888・7669
【高次脳機能障害】
 事故や脳の病気などで脳の一部が損傷を受けて起こる記憶・感情などの機能障害で、失語症、注意障害など症状は個人差が大きい。全国に40万人いると言われているが、社会の理解と支援は遅れている。

写真上/開所式で挨拶する渕脇理事長
中/外観
下/焼きたてパン