足立朝日

あだワンCMグランプリは区外大学生の作品 千住の「あたたかさ」を表現

掲載:2015年5月5日号
 北千住駅前の賑わいと狭い路地。昔ながらの毛糸店の店主と客の飾らない言葉と笑顔から、「あたたかい」というメッセージが伝わる。
 足立区が区の魅力を発信するCMを一般から募集する第4回「あだちワンダフルCMグランプリ」のグランプリ作品「あの頃の時代を刻む町」は、千住の魅力をドキュメンタリータッチで表現した。
 制作者は大田区出身・在住の立教大学2年(制作時1年)長田幸洋さん(19)。友人の松澤拓也さんが制作に協力した。
 現代心理学部映像身体学科で学んでいる長田さんは、大学の掲示板で募集告知を見て応募。母から「下町の雰囲気が面白い」などと聞いた北千住を題材に。
 実際に訪れた第一印象は、2人とも「初めてじゃないような町」。どこか懐かしく、あたたかい。形のないそんな曖昧な感覚を探って映そうと、何回か通う中、古い建物の佇まいに惹かれて話を聞いてみようと毛糸店の「石鍋商店」に入った。気さくに応じてくれた店主と、店の成り立ちから最近の事情、地域の人気ラーメン店など世間話にも花が咲いた。客とも仲良くなり、家に招かれて話を聞いたこともあったという。
 その触れ合いを作品に生かした。「何かを伝える上で、人の心に訴えかけるのはノンフィクションにかなうものはない」。そんな信念で描いた60秒に込められているのは、あたたかさと、失われつつあるものへの哀惜。「あの映像が、ぼくが感じた全て。時代は時代だけど、消えて行くものがあるんだよ、と意識するだけで違うんじゃないか」
 区外の若者の真っ直ぐな視点が、住んでいる街の魅力とともに、日常の大切さを改めて感じさせてくれる。
 グランプリ作品はTOHOシネマズ西新井で、5月8日(金)まで映画「シンデレラ」の上映前のシネアド(CM)として放映中。また入賞作品は、北千住駅デジタルサイネージ(ビュー坊テレビ)などで放映中。
▼優秀賞=西新井.tokyo「夢が見つかる街」、㈱CAN「僕らの住むこの街」、マツウラ「ひとり暮らしを始めた街」、いんちょ「愛のうまれる区」、パラパラマンガ取材班〔innocenceTV〕「キミの街に『愛』はあるかい?」

写真/長田さん。「将来はドキュメンタリー番組を作りたい」