足立朝日

71.「浅間神社」西新井6-3-16

掲載:2015年5月5日号
 西新井大師の西側、環七通りの1本裏の路地に、広さ735㎡と小さな「浅間神社」がある。古くは富士山を信仰し参拝する「富士講」が盛んな神社だった。
 祭神は木花開耶姫命。総本社は、静岡県富士宮市にある富士山本宮浅間大社。詳しい創建は不明だが、寛永15年(1638)に富士講中が土地を寄付し、そこに富士山本宮浅間大権現を勧請したのが始まりではないかと伝えられている。文政期のころまでは西新井大師が管理をしていた。
 このあたりの富士講は、その年の当番に当たった人が、西新井堀の清水で体を清め同社に詣でて富士登山へ向かっていった。かつては富士講と密接な神社であったことから、富士山の山開きの日の7月1日が例大祭であった。しかし、日中戦争が長期化してくると昭和10年(1935)ごろに自然となくなってしまった。境内に天保14年(1843)「富士山三十三度大願成就」と刻まれた石造物がある。ここからも富士信仰の人気と永続性を推測できる。
 他にも、境内には稲荷社と薬師堂があり、薬師堂は環七通り建設以前は第五中の裏にあったものをここに移転してきた。年代は不明だが、不動明王、勢多迦童子、衿羯羅童子、三猿の珍しい組み合わせの庚申塔も見ることが出来る。
 西新井大師へ参拝に来た帰りに寄ってみては?
【交通】「大師前駅」から徒歩約5分

写真上/拝殿は少し高台になっている
下/不動明王の庚申塔