足立朝日

「あだち俳壇」常連・秋山啓司さん 初の句集発行 「あいのわ福祉会」利用者の絵とコラボ

掲載:2015年7月5日号
 自然のふとした息吹きや四季の美しさを、五七五で織り上げる俳句。そこにイメージする絵と写真を加えて綴った句集、 「忘れられない刻があり言葉があり風景がある(上) あいのわ福祉会の皆さんの絵画集」が完成した。
 著者は「あだち俳壇」の投句常連の秋山啓司さん(81)=青井在住=。社会福祉法人あいのわ福祉会(鈴島妙子理事長)の理事、後援会長を務めている。
 「あいのわ」の出発点である施設「足立あかしあ園」は秋山さんが経営する会社の近くにあり、開設当時から地元のよき理解者として身体障害者を支援する活動を続けている。
 1年前、30歳の頃から折につけ詠んできた俳句をまとめたいと、大谷田就労支援センター(同法人が運営)の酒井紀幸施設長に相談。共同で企画を進めてきた。印刷も同就労支援センターが請け負い、2000冊発行。同法人の利用者、職員、後援会員に配布した。
 全42頁に収められているのは「あだち俳壇」や同法人の会報「あかしあ」(現「あいのわ」)に掲載してきた21句。秋山さんの句に合わせて、同じ題材で詠まれた著名な俳人(芭蕉など)の句、イメージの風景写真、それを元に描かれた施設利用者のイラストが掲載されている。
 「利用者の皆さんに絵を描いてもらうことを大きな目的の一つに編集した」と秋山さん。酒井施設長によると、普段は自由に描いている利用者にとって、完成されたイメージを形にするのは大変だったようだ。だがその甲斐あって、拙の中にやさしい味わいのあるもの、絵はがきとして売っていそうなプロ顔負けなものなど様々な個性豊かな力作が、句の世界に広がりと彩りを添えている。利用者とその母親にも喜ばれているそうだ。
 「自分の絵が印刷物となり、1冊の本になることで、僅かでもそこに喜びや希望みたいなものが芽生えれば、こんなにうれしいことはない」と秋山さん。次は3~5年後に出したいと話す。
 欲しい人は無料で分けてもらえる。問合せはTEL3605・6762大谷田就労支援センター。

写真上/句集を手にした秋山さん=足立あかしあ園で
下/見開きいっぱいに句の四季や風景が広がる