足立朝日

74.「出戸八幡神社」 本木南町25-10

掲載:2015年9月5日号
 本木新道から1本路地を入ったところに、この地に城を構えていた武蔵千葉氏に関わりのある小さな神社「出戸八幡神社」が建っている。出戸とは、城の出入口や城門を意味していて、この場所は武蔵千葉氏の渕江城の南側の外郭部分に当たり、城の出入口があるのにふさわしい場所に位置している。
 祭神は誉田別命。創建は室町時代の永禄2年(1559)。八幡神社は武神として知られ、武蔵千葉氏の弓矢の守護神であったと伝えられている。出戸八幡は、出陣する城門の所に鎮座するまさに戦いの神であった。
 また、現在神社の前の道を挟んで正面にある足立消防署本木出張所は、かつて幕府や領主が決めた法令を記した木の札を掲示していた高札場だったという話も残っている。廃城後は、地元の人々の手により現在に至る。
 小さいため、人が集うような境内ではないが、昭和12年(1937)に奉納された「出戸納税組合二十五年勤続記念」と刻まれた旗立て台が入り口にある。また、明治百年記念建立と刻まれた鳥居には、「出戸八幡神社」と記された古めかしい木製の社号額が掲げられている。そのほか、足立区の保存樹木に指定されたイチョウも植えられている。
【交通】「北千住駅」からバス「本木新道」経由「西新井大師」行きで、「本木新道」下車、徒歩約2分

写真上/路地裏にある小さな神社
下/鳥居に付けられている木製の社号額