足立朝日

千住曙町の風景よ、永遠に! 在住のペン画家が 「欧風刺繍」の奥さんと二人展

掲載:2015年10月5日号
 奥さんが生まれ育ち、自分も生活して来た千住曙町の寺や神社、蔵、造船所、街角などをスケッチしてはペン画にしてきた人が、この10月に千住で個展を開く。奥さんが続けている「欧風刺繍」の展示も合わせて行われ、文字通り夫婦二人三脚の展覧会になりそうだ。
 この二人は、山田剛彦さん(70)、恵子さん夫妻。展示は、「千住曙町の風景(ペン画)と欧風刺繍」と題し、10月15日(木)~20日(火)午前10時~午後5時、千住河原町21‐11にある千住宿歴史プチテラスで行なわれる(5面参照)。
 若い頃山田さんは、商業デザインの仕事をしていたが、辞めて千住曙町でメッキ業を営む奥さんの実家に勤めた。定年後、3年前に区のセンターで実施された建築イラストレーター・大淵澄夫さん(69)=千住東町在住=のドローイング(ペン画)の講習会ポスターを見て、その細密さに感動し、講習を受けた。
 作品は、東武線堀切、牛田、京成線・関屋の駅舎、東稲荷、十一面観音堂、西光院と境内の古地蔵や記念碑、23区では珍しい隅田川にある伊澤造船所、残された昔の農家の蔵など、その数は約20数点。恵子さんは「どの作品も私たちにとってとても懐かしい風景ばかり」と感激して全力で後押しして来た。
 山田さんは、描く物を決めると、その場所に何度も通い、あらゆる角度から写真を撮り、鉛筆でラフスケッチをしてから自宅で、写真を見ながらボールペンでコツコツと細部を描いていく。線の太さは0・05~0・028ミリという極細の世界。
 山田さんは病気で一度倒れ、入院したが、その後驚異の回復をして、リハビリを兼ねてペン画を描き続けている。
 一方、恵子さんは15年ほど前から欧風刺繍に傾倒し、学校に通いながらずっと作品を作り続けて来た。「そのオシャレな感じが何とも言えないんです」と恵子さん。今回の展示には、風景や花、テーブルクロス、人形の衣装など約20点を飾る予定だ。
 剛彦さんは「皆さんに見てもらえれば励みになる。今後は、千住や足立区全体を描いてみたい」と話し、恵子さんは「夫を支えながら、私の感性でよりステキな刺繍を作っていきたい」と話す。
【メモ】千住宿歴史プチテラスへは、京成線「千住大橋駅」、東武線「牛田駅」より旧日光街道徒歩3分。

写真上/「伊澤造船所」を手に剛彦さんと「日がしずむ」を持つ恵子さん=千住曙町の自宅で
中/恵子さんの「お人形」
下/剛彦さんの「十一面観音堂」